2021年度の予算編成に向けた概算要求が締め切られた。一般会計の要求総額は7年連続で100兆円の大台に乗った。

 前年度をわずかに上回っただけに見えるが、新型コロナウイルス感染対策などで金額を明示しない「事項要求」が相次ぐ。予算規模は最終的に膨らみ、過去最高を更新する可能性がある。菅義偉政権で初となる予算編成でいかに独自色を打ち出すのかも注目されるが、財政規律の緩みまで前政権から継承することは許されまい。

 財務省は今回、要求額を20年度予算と同額とした上で「新型コロナ対策などの緊要な経費」は、別枠で上限を設けず計上を認める方針を打ち出した。感染拡大など先が見通しにくいのが理由だ。

 このため、概算要求は金額を示さない省庁が目立った。例えば省庁別で最大の要求額の厚生労働省は33兆円弱で、20年度当初とほぼ同額だ。しかし高齢化に伴う社会保障費の自然増は示さず、ワクチン接種体制の構築などのコロナ対策経費も事項要求の形とした。費用は数兆円規模で積み上がる見通しという。

 この「青天井」と併せ、「―などに緊要な経費」という曖昧さが便乗とも思える予算要求を招いたとみられる。「ポストコロナを見据え」るとしつつもコロナ禍と関係が薄い事業に加え、菅政権が掲げるデジタル化や、防災、国土強靱(きょうじん)化といった分野にまで広げてしまったようだ。財務省幹部が「悪のりが過ぎる」と漏らすほどで、たがが外れたと言うほかない。

 年末の予算案編成では、不要不急の施策が紛れ込まないよう例年以上に厳しい精査が重要だ。重点化と効率化を進め、歳出圧力を抑制する知恵と工夫も求められる。

 コロナ対策などで20年度は2度の補正予算を組み、新規国債発行額は過去最大となる90兆円を超えた。国の長期債務残高は年度末に993兆円に膨らむ見通しだ。

 こうした危機的な財政状況を顧みず、衆院解散・総選挙をにらみ与党の歳出圧力が強まっているのが気掛かりだ。歳出が際限なく膨らむ要因となりかねない。

 未曽有のコロナ禍や相次ぐ災害対策に万全を期す予算措置は当然であろう。しかし、財源には限りがある。消費税率10%への引き上げから1年たったが、増税は将来世代への「つけ回し」を減らすのが目的ではなかったのか。財政再建への道筋が見えないまま、予算の野放図な膨張が続けば、国の将来に不安が募るばかりである。