中絶と不妊手術を受けさせられた苦しみを訴える小林喜美子さん(右)と夫の宝二さん=大津市浜大津4丁目・明日都浜大津

中絶と不妊手術を受けさせられた苦しみを訴える小林喜美子さん(右)と夫の宝二さん=大津市浜大津4丁目・明日都浜大津

 優生保護法(1948~96年)の下、聴覚障害を理由に強制不妊手術を受けさせられた兵庫県の夫婦2組が17日、大津市内で講演した。両親が断種を進めた背後に同法の存在があった、と最近まで知らなかったという。「手術を受けて本当に悔しく、悲しかった。国は謝ってほしい」と手話で訴えかけた。

 4人は、神戸地裁に国家賠償請求訴訟を起こしている。

 明石市の小林宝二(たかじ)さん(87)、喜美子さん(86)は60年に結婚した。「子どもがたくさんできたらいいね」と話し合い、ほどなく妊娠した。だが、両家の母親が話をして喜美子さんを病院に連れて行き、中絶した上に不妊手術を受けさせたという。

 喜美子さんは「(医師や親から)何の説明もなかった。断りたかった」と語った。宝二さんは母親に「なぜなんだ」と怒ったが「責めるなら、私の首を絞めなさい」と言われ、泣く泣く諦めたという。

 手術後は「58年間、寂しく、つらい気持ちを抱えてきた」(宝二さん)。国が施策として強制不妊手術を進めた優生保護法の存在を知って、「黙ったままでは悔しい」と昨年9月に提訴に踏み切った。

 兵庫県の高尾辰夫さんと奈美恵さん(いずれも70代の仮名)夫婦は、両親から「子どもをつくらないこと」が結婚の条件とされ、辰夫さんが断種された。

 小林さん夫婦と一緒に、裁判を起こした。原告は現在、全国19人しかおらず、辰夫さんは「滋賀と京都にも、被害を黙っている人がたくさんいると思う。勇気を出して、声を上げてほしい」と呼びかけた。

 講演は滋賀県手話通訳問題研究会が主催し、75人が参加した。