政府が日本学術会議員に任命を見送った立命館大法科大学院の松宮孝明教授

政府が日本学術会議員に任命を見送った立命館大法科大学院の松宮孝明教授

 日本学術会議が推薦した新会員候補6人を政府が任命しなかった問題で、学術会議を所管する内閣府と内閣法制局は2日の野党合同ヒアリングで、安倍晋三政権下の2018年に内閣府と法制局で協議し、任命手続きなどを定めた日本学術会議法の解釈を見直していたことを明らかにした。

 過去に国会で示された政府見解を、後の内閣が国会に説明なく修正していたことになる。

 学術会議は法解釈が見直された18年の前年、軍事目的の研究に反対する声明を出しており、「学術会議の姿勢に政府が不満を持っているのではないか」という関係者の指摘がある。

 学術会議の会員任命については、1983年の国会答弁で当時の政府が「学会から推薦したものは拒否しない、形だけの任命をしていく、政府が干渉したり、そういうものではない」との見解を示している。

 野党は「政府解釈の変更なのは明らかで、菅義偉政権は経緯を国会で説明すべき」と反発している。

 加藤勝信官房長官は2日の会見で安倍政権での解釈見直しを「推薦と任命に関する一般的な制度についての考え方が整理されているものと承知している」と説明。

 法制局の担当者は、18年に日本学術会議法の「会員は推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」とする規定について内閣府と協議。その上で、解釈を「明確化」したという。

 この日の野党ヒアリングには任命を見送られた6人のうち3人の科学者も出席した。立命館大の松宮孝明教授(刑事法学)は「事実上、総理大臣には推薦された候補者を拒否する権限はなく、理由のない拒否は現行法上は違法。学術会議の仕組みは憲法23条の学問の自由をバックアップしているもので、憲法上の疑義も生み出す」と指摘した。