経済活動において血液ともされるお金の流れが、著しく妨げられてしまった。

 東京証券取引所が1日、株式全銘柄の売買を、取引開始から終日停止した。翌日に再開したが、初めての異常事態である。世界でも例がないそうだ。

 東証のシステムを利用する札幌、名古屋、福岡の各証券取引所の売買も、同様に終日停止した。

 関係者だけでなく、資金の調達を予定していた企業や、商機をうかがう投資家への影響は、計り知れない。

 所管する金融庁が、この事態に関する報告と再発防止策を強く求めたのは、当然だ。

 東証には、誰もが納得できる説明をするとともに、適切な対応をしてもらいたい。

 株式売買システムに障害が発生したのが、原因だという。

 機器の故障があったのに、バックアップへの切り替えが正常に行われず、相場情報の配信やシステムの監視ができなくなった。

 これでは、取引を開始するわけにはいかない。システムを、拙速に再起動することなく、終日停止としたのは、やむを得なかったのかもしれない。

 とはいえ、せっかく用意していたバックアップが、なぜ機能しなかったのか、徹底的に究明しておく必要があるだろう。

 東証ではこれまで、終日停止には至らなかったものの、システム障害が繰り返し起きている。

 識者からは、「想定に漏れがあり、対策が機能しなかったのではないか」「システム全体の検証環境が整っていたか、疑問が残る」などの厳しい指摘がある。

 今回の事態を引き起こした直接の原因を特定することに加え、システム全体の点検、場合によっては見直しも、求められるのではないか。

 政府は、日本をアジアの国際金融センターとして発展させる取り組みを推進している。

 東証1部では、おおむね3兆円の取引が毎日行われており、東証上場会社の時価総額は米国の2取引所に次ぐ世界3位である。

 だが、投資の拡大に向けて各地の証券取引所が、高速処理できる安定したシステムの構築に、しのぎを削る中、売買を終日停止するようでは、企業や世界の投資家から見放されかねない。

 金融のインフラである証券取引所を維持し、そのシステムに潜むリスクを回避するには、政府も対策を検討すべきだ。