「大規模災害でもしっかりと動けるよう訓練に励みたい」と語る森本さん(京都市東山区・東山消防団粟田消防分団器具庫)

「大規模災害でもしっかりと動けるよう訓練に励みたい」と語る森本さん(京都市東山区・東山消防団粟田消防分団器具庫)

拍子木を鳴らして夜回りをする森本さん(手前)ら粟田消防分団の団員たち=同区

拍子木を鳴らして夜回りをする森本さん(手前)ら粟田消防分団の団員たち=同区

 噴き出す汗を拭い、静まり返った路地を歩く。粟田消防分団(京都市東山区)の夜回り活動。分団長の森本つばささん(25)は自主防災会と共に消火器の場所や状態を確認し、たばこや段ボールなど燃えやすいごみがないか目を光らせる。


 消防団は地域防災の要。地理をくまなく把握し、新しいゲストハウスなど建物の変化にも注意を払う。「どんな人が住んでいるかを知り、顔を覚え、覚えられるのも仕事です」


 今年4月、京の消防団で女性最年少の25歳で分団長に就いた。市内には225の分団があり、団員数は約4500人。高齢化が進む中、女性は約550人と増加傾向にあるが、分団長は自身を含め9人だけだ。


 粟田分団は20~80代の19人が所属する。アットホームな雰囲気だが、規律も重んじようと、前分団長の提案で以前のように下の名前ではなく「分団長」と呼ばれるようになった。「負けず嫌いだし、周囲の支えもある。分団長の重圧は感じません」と言い切る。


 小さい頃から、団員だった父親の馨さん(58)に話を聞いたり、小型動力ポンプの操作を見たりと消防団が身近だった。「格好良かったし、私も人の役に立ちたくて」。大学1年で入団し、月2回の夜回りに加え集団行動や消火などの訓練、火災や台風といった災害現場活動に当たってきた。


 普段は介護士として高齢者施設で働く。「地域にもお年寄りが多く、災害時の介助など専門知識が役立つはず。独居宅への防火訪問も、女性だと安心してもらいやすい」と強調する。


 他の分団や消防署、地域団体との連絡など分団長の役割は多岐にわたるが、新型コロナウイルスに出はなをくじかれた。訓練の成果を披露する大会や、警備を担う地元の祭りも中止に。6月に再開した夜回りも人員を減らすなど苦境が続く。


 一方、9月に学生1人が加わり、同分団は定員の20人に達する。経験豊富なベテランと、フットワークの軽い若手の融合を目指し「大災害が起きてもしっかりと動けるよう訓練に励みたい。SNS(会員制交流サイト)を使って情報発信もできたら」。


 活動を通してより好きになったという地域、そして住民のために―。新米分団長の挑戦は、始まったばかりだ。