オンラインで作り方を習いながら大学生が作った精進料理

オンラインで作り方を習いながら大学生が作った精進料理

 精進料理を通して仏教の教えに触れ、「作ること」「食べること」の意味を考えようと、京都や滋賀の大学生がオンラインの料理教室を続けている。精進料理に詳しい僧侶の指導を受けながら調理、和気あいあいとした時間を過ごしながらも料理にまつわる歴史や信仰への思いを深めている。

 天台宗の宗祖最澄の1200年遠忌を機に最澄の魅力や教えを広く伝えようと結成された「伝教大師最澄1200年魅力交流委員会」プロジェクトの一環。今年2月に延暦寺での座禅や精進料理の作法を学んだ立命館大生有志から「料理を通して歴史を体験し、食を通じた感謝の心を伝えたい」との声が上がり、5月から活動している。

 新型コロナウイルスの影響で、講義にはビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用、9月にあった4回目の講座では「精進だしのおかゆ」「凍(し)み豆腐のあんかけ」に挑戦した。

 講師の僧侶、飯沼康祐さんは川崎市の自坊から参加、学生は自宅の台所にスマートフォンなどのカメラを置いて手元を見せながら指導を受けた。コロナ禍で食事できる店がなくなったことで初めて自炊したという学生もいて、飯沼さんは全員の画面を確認しながら「お湯わいてますか」「まだ強火でOK」など声を掛け、1時間ほどで2品ができた。

 合間には「凍み豆腐は昔は貴重なタンパク源だった。『論湿寒貧(ろんしつかんぴん)』と言われた比叡山の厳しい環境にも思いをはせてほしい」など飯沼さんが料理の背景に触れる場面も。食事の前後には「斎食儀(さいじきぎ)」と呼ばれる言葉を唱える。来年には比叡山ふもとの大津市坂本でかゆ料理をふるまうイベントの計画もあり、リーダーの立命館大2年江原健悟さん(21)は「オンラインでどんな活動ができるのか不安もあったが、みんなで一つのものを作る時間は想像以上に一体感がある。さらに多くの人とつながっていきたい」と話す。

 天台宗の杜多道雄宗務総長は「仏教にとって食事は修行の一つ。学生の皆さんには、作法を通じて自然との共生や自然の中で生かされていることへの恩恵に感謝する機会となってほしい」と話している。