妻を亡くした悲しみや子どもたちとの生活をつづった本を出版した木本さん(京都市中京区)

妻を亡くした悲しみや子どもたちとの生活をつづった本を出版した木本さん(京都市中京区)

 父子家庭を支援するNPOの理事長で、妻をがんで亡くし3人の息子たちと生活する京都市の男性が、妻が亡くなって2週間後から書き始めたブログを基にした本を出版した。「当事者にしか分からない気持ちがある。発信して、当事者や心のケアなどに携わる方々の役に立てれば」と話す。

 タイトルは「シングル父さん子育て奮闘記」。著者はNPO法人「京都いえのこと勉強会」理事長の木本努さん(55)=左京区=。木本さんは会社社長に就任して3年目の2009年、3男が2歳の時に妻富美子さんに胃がんが見つかった。余命数カ月と宣告されてからわずか12日後にこの世を去った。

 ブログは知人のすすめで始めた。日々の状況を報告し、書くことが生活のリズムになった。友人から「富美子さんへの日報だね」と感想を伝えられたこともあった。今は「子どもが結婚する時、奥さんに読んでもらいたい」とも願っている。

 当時の悲しみと戸惑いがないまぜになった心境や、子どもたちの成長、ママ友の支えや仕事をやめる決断などをつづる。富美子さんが亡くなった直後の心境は「悲しいとか、泣きたいとか、そんな時間はなかった。仕事のこと、子どもたちのこと、そして、今後の生活のことで一杯だった」と振り返る。

 木本さんは、悲しみと子育て、家事で手一杯になり、仕事に力を注げなくなった生活を振り返り、「妻と死別した父子への支援はほとんどない」と感じている。同様の立場の人に「勇気を与えるわけではないし、プレッシャーになっても良くない。ただ、道しるべのようなものになれたら」と本を手に語った。

 1404円。209ページ、ぱるす出版。