京都府庁

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 優生保護法下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、京都府内の50代の被害者が、平成に入ってから手術を受けさせられていたことが6日、府への取材で分かった。平成以降の被害者が明らかになるのは府内では初めて。府は被害者の具体的な証言や手術に至った経緯も明らかにした。1996(平成8)年の優生条項削除の数年前まで他県で不妊手術が行われていたことは統計上知られていたが、近年の被害実態が明らかになるのは全国でも珍しい。

     府によると、この被害者を含む府内の50~80代の男女4人が、昨年4月施行の一時金支給法に基づいて国から一時金320万円の支給が認められた。4人はいずれも行政機関に手術の記録が残っていない人たちだった。府は京都新聞社の取材に対し、一時金申請書類を基に、個人情報保護に配慮した上で4人に関する情報の一部を説明した。

 優生保護法に基づく不妊手術は、本人同意なしでも認められた手術と、同意を条件とした手術の2種類があった。「同意なし」の手術は都道府県の審査を要したため統計が残っており、府内では1949~75年に95人に実施された。行政による手術記録も作成されたが、大半が廃棄された。一方「同意あり」の手術は行政の記録が作られなかったため、正確な件数や実態は分かっていない。

 府によると、一時金が支給された50代被害者は、医療機関に残っていた診察記録が手掛かりになって、精神障害を患っていた平成一桁台に不妊手術を受けさせられたことが裏付けられた。この手術は統計に計上されておらず「同意あり」として行われたとみられる。しかし申請書類では「手術後に看護師から何の手術か聞かされた」と報告しており、事実上の強制だった可能性が高い。

 70代被害者は、結婚を機に「障害のある子が生まれたら育てられない」と親が判断し、25歳ごろ不妊手術を受けさせられた。別の70代被害者と80代被害者は、家族から不妊手術のことを聞いていた親族らが代理で一時金を申請した。

 厚生労働省によると、「同意なし」の手術は統計上、平成の期間に全国で4人に行われ、92年に福岡県で行われたのが最後。

 この問題に詳しい立命館大生存学研究所の利光恵子客員研究員は「平成以降の不妊手術の具体的内容が明らかになったことや、同意が前提の手術で同意がなかったことを裏付ける具体的証言は珍しい」と指摘。「府が取材に実態を明らかにしたのは画期的だ。行政は一時金申請を機に判明した事実をまとめて報告すべきだ」と訴える。