立命館大びわこ・くさつキャンパスにある情報理工学部・研究科の校舎(草津市野路東1丁目)

立命館大びわこ・くさつキャンパスにある情報理工学部・研究科の校舎(草津市野路東1丁目)

 学校法人立命館(京都市中京区)は8月25日、立命館大びわこ・くさつキャンパス(草津市、BKC)にある情報理工学部・研究科を2024年春に大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市、OIC)へ移転すると発表した。これに対し、橋川渉草津市長は「多大な社会的、経済的な影響があり受け入れがたい」と大学側を強く非難したとも受け取れるコメントを出し、記者たちを驚かせた。

 なぜ市はこれほど大仰な反応を示したのか。理由の一つに大学側の唐突な発表に対する不信感がある。大学が市に学部移転を伝えたのは公式発表のわずか2週間前。立命館の森島朋三理事長は公式発表の会見で「滋賀県や草津市には理解をいただいていると認識している」としたが、市は「8月7日に理事長が再任のあいさつで市庁舎を訪れた際に唐突に告げられた。『分かりましたとは言えない』と伝えた」とし、コミュニケーション不足が露呈した。

 BKCからの学部移転は15年の経営学部に続き2学部目だが、市の担当者は「経営学部の際は発表の1年ほど前に知った。今回は事前の相談もなく一方的な通達で残念」と打ち明ける。

 1994年のBKC開設時、市と県は土地取得費と造成費計約135億円を全額公費で負担し、立命館側に無償提供した。同年、キャンパスの最寄りとなるJR南草津駅も開業し、市は建設費の8割に当たる25億円を負担。後の経済効果が見込めるにしろ、市が相応の支援をした経緯がある。イベントや政策立案の審議などで、市と立命館大は2018年度に83件の協力事業を持つなど連携を深めてきただけに、寝耳に水の通達はなおさら市にこたえたようだ。

 だがそもそも学部の移転は大学の裁量だ。今回の移転について大学は、25年大阪万博を見据え、産学連携で人材育成を進める好機と捉えたと説明する。発表のタイミングに関しては「移転を決定したのは7月中旬で、移転時点で学部に在籍することになる今の高校3年生が受験校を決める前に公にしたかった」(広報課)と受験生への配慮を強調する。

 BKCの学生約1万5千人のうち約2400人が流出することになる。学生マンション経営などで一定の経済損失は避けられない。ただキャンパス開設からの26年間で、市の人口は約3万8千人増え、市税収入も1・5倍に拡大した。南草津駅周辺の発展は目覚ましく、駅前には店舗や高層マンションが立ち並び、住宅街も広がる。この移転を機に、現在のポテンシャルを生かしたまちづくりに官民で一層邁進(まいしん)してほしい。

 9月、市は県とともに、BKCの将来構想提示や連携充実を求める要望書を大学に提出した。今月にも3者で協議が始まると聞くが、情報理工学部移転後もBKCには6学部が残り、草津が学生のまちであることは変わらない。学生が気持ちよく生活し、勉学に励むことができる環境整備にも市は引き続き力を注いでもらいたい。