病気や障害などのある家族を介護する18歳未満の子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれる。

 その実態を把握するため、厚生労働省が全国の教育現場を対象にした初の調査を始める。

 子どもによる介護は、本人が家族の病気などについて相談することに引け目を感じて表面化しにくいといわれる。

 学業や進路にも影響する問題である。広く現状を調べ、相談しやすい環境や負担軽減といった支援策につなげてもらいたい。

 日本ケアラー連盟(東京)によると、ヤングケアラーは病気の親に代わって家事をしたり、障害のある家族の介助をしたり、幼いきょうだいの世話などをしている。

 年齢や心身の成長に見合わない重い負担を背負い、学業との両立や同世代からの孤立に悩む例が多くみられるほか、進学や就職にも影響しているという。

 全国の人数や実態に関する公的なデータはないが、2016年に大阪府の公立高の生徒を対象にした研究調査では、約20人に1人が該当した。

 高齢化や核家族化に伴い増えているとみられ、支援の仕組みを早急に整える必要がある。

 ヤングケアラーの問題は「家族は家族が支えて当たり前」という風潮もあり、これまであまり注目されてこなかった。

 岡山市では、自宅で受ける公的な介護サービスの増加を求めた難病の男性側に対し、担当職員が同居する高校2年の娘による介護で補うよう求めていたことが6月に発覚した。

 自治体の福祉担当者にさえ、問題が十分に共有されていないことの表れではないだろうか。

 学校や地域でも、家庭のプライバシーに入りにくい事情やガイドラインがないことから十分に支援できない状況があるといわれる。

 埼玉県で3月、家族を介護する人全般を支援する「ケアラー支援条例」が全国で初めて施行されたが、自治体や団体が先行する形で支援の動きが目立ち始めたのは最近のことだ。

 京都市内でも団体やヤングケアラーが悩みを共有し合う集いを開くなど、市民レベルの活動が生まれている。

 海外では英国で1980年代から取り組みが始まり、既に支援法が整備されている。こうした先行事例を生かしつつ、サポート体制づくりを進めたい。

 そのためにも今回の全国調査は重要だ。厚労省と教育現場は丁寧な実態把握に努めてほしい。