判決後の会見で報道陣に思いを語る男子生徒の父親(19日午後4時57分、大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館)

判決後の会見で報道陣に思いを語る男子生徒の父親(19日午後4時57分、大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館)

 男子生徒の自殺から、7年4カ月余り。19日の大津地裁判決は、いじめを自殺の原因と認定しただけでなく、いじめが「被害者を自死に追い詰める」という危険な行為であることを司法が認めた。弁護士は「いじめ自殺を二度と繰り返さないという司法のメッセージだ」と高く評価し、父親は「これまでのいじめ訴訟を大きく前進させる。ここまでの画期的判決が出るとは」と涙を流した。

 この日、男子生徒の父親と母親は、法廷で並んで判決を聞いた。ほほえむ息子の遺影をハンカチに包み、手元にしのばせていた。

 「男子生徒を格下と位置づけ、暴行がエスカレートしていった」「自殺の主たる原因はいじめ行為や関係性にあった」。判決が読み上げられるほどに、父親は涙をこらえきれない。「原因を家庭に求めることはできない」。うつむいていた母親もハンカチで目元を覆った。公判が終わっても父親はしばらく立ち上がれず、おえつした。

 なぜ、自ら命を絶ってしまったんだ-。息子の自殺の直後、父親は分からなかった。ひょうきんで、友達も多かった男子生徒。もしかして、自分の子育てに至らない点があったのか。思い悩んだ。

 しかし、中学校が実施したアンケートで、同級生に殴られ、ハチの死骸を食べさせられ、教科書を破られるなどのいじめを受けていたと知った。でも、学校はいじめが自殺の原因だと認めない。「何とか息子の名誉を回復させてあげたい」。両親は大津地裁に提訴した。裁判は丸7年、審理は33回に及んだ。

 判決後の会見で、父親と遺族側代理人の石田達也弁護士は「いじめは、一般的に人を死に追い込む危険な行為だと初めて認められた。大きな一歩だ」と何度も強調した。いじめ自殺の裁判の多くは、全国で加害者側の自殺の予見性を否定しており、遺族は悔しい思いを続けていた。

 7年間、父親は全国のいじめ被害者や遺族との交流を重ねてきた。全国から応援の手紙を何通も受け取った。今も苦しむ人がこんなに多くいるのか。息子の名誉を回復させるために始めた裁判は、いつしか「全国のいじめ被害にあった多くの子どもたちと遺族のため」に変わっていった。

 判決後、息子への思いを聞かれた父親は「息子は、きょうの判決を勝ち取るために生まれてきたのかな」と声を震わせた。