日本と米国、オーストラリア、インドの4カ国外相が「自由で開かれたインド太平洋」構想推進へ連携を強めることで一致した。

 昨年9月以来となる2度目の会合を東京都内で開き、海洋安全保障やサイバー、質の高いインフラ整備の分野で協力するとした。

 覇権主義的な動きを見せる中国をけん制するのが狙いで、今後は年1回をめどに会合を定例化させるという。

 ただ、初会合に続き、今回の会合後も共同文書の発表が見送られた。「志を同じくする4外相」(茂木敏充外相)にも対中姿勢に温度差があることを示していよう。

 米中対立が激化する中、米国主導の「対中包囲網」構築のみを目指すことに終始すれば地域の緊張をさらに高めかねない。より多くの国から賛同を得られる取り組みができるかが問われよう。

 インド太平洋構想は、安倍晋三前首相が掲げ、米国も支持している。アジア太平洋からインド洋を経てアフリカに至る地域でルールに基づく国際秩序を確立し、平和や繁栄に貢献するとしている。その核となるのが、4カ国の枠組みだ。

 中国への懸念は、4カ国に共通している。インドは国境紛争を抱え、オーストラリアも新型コロナウイルスの発生源を巡って国際調査を求めたことで対立を深めた。日本でも中国公船による沖縄県・尖閣諸島周辺への領海侵入が繰り返されている。

 とりわけ、米国の対中姿勢は強硬だ。トランプ政権はインド太平洋地域で存在感を高める中国に対抗するため、4カ国の枠組み強化を目指している。将来的には、北大西洋条約機構(NATO)のような多国間枠組みにつなげたい思惑もあるようだ。

 今後、米側からは対中圧力の強化へ一層の同調を求めてくることが想定されよう。だが、対決一辺倒では活路は開けまい。

 菅義偉政権は、4カ国の連携を深めつつ、中国との経済的なつながりも重視する構えだ。インドも貿易でつながりの強い中国との緊張緩和策を模索している。

 一方的に現状変更を試みるなど国際社会に緊張を与える中国の姿勢は、見過ごしにはできない。

 ただ、圧力を強めるだけでなく、対話の道を探るなど、現実に即して自制を促す戦略を打ち出す必要がある。

 日本は構想提唱者としての責務がある。米中の緊張緩和に向けて主導的な役割を果たすべきだ。