ほんま暑おすなぁ、と猛暑をぼやいていたのがうそのようだ。きょうは野草に露が宿るという「寒露」。朝夕に吹く風はひんやりとし、程なく紅葉も始まる▼この時季、湖国の山あいを車で走ると、白いじゅうたんのように広がるソバ畑の光景に目を奪われる。かれんな白い花は雪にも例えられる。<蕎麦(そば)はまだ花でもてなす山路かな>と遠来の客を和ませた芭蕉の詩情に思いをはせる▼丹波や丹後などでも昨今、休耕田でのソバ栽培が盛んという。本紙地域版では「ソバの花真っ白」「白じゅうたん 秋風そより」といった記事が秋の深まりを告げている▼いま満開なのは、夏にまき、晩秋に実る秋そば。来月上旬に刈り取り、初冬にうま味が凝縮した「新そば」として出回る。地産地消で提供する地元のそば屋さんも多いと聞く。ひきたて、打ちたて、ゆでたての風味が待ち遠しい▼ソバは収穫までの日数が短く、年2回栽培できる。日照りや冷害にも強く、昔から凶作をしのぐ救荒作物として重宝されてきた。いわば危機を乗り越える食品ともいえる▼春先から続くコロナ禍は、いまだ収束を見通せない。政府挙げての「GoTo」の掛け声がにぎやかでも、もう少し我慢か。とはいえ近場で目でも舌でもそばを味わい、しばし自粛疲れを癒やすのはいかが。