大雨による河川の決壊、氾濫。台風19号による被害が徐々に明らかになり爪痕の大きさに言葉を失う。昨今の豪雨被害も含め、想定を超える自然災害が増えている。減災を進めるには、目立ちにくい被害にも目配りしながら備えを進めるしかない▼あまり注目されないが、今回の台風では「高層難民」という言葉が脳裏をよぎる被害も出ている。川崎市中原区の武蔵小杉エリアにある47階建てタワーマンションで起きた停電、断水である▼浸水で地下の電気系統が故障したためにエレベーターが使えず、ポンプも動かせないため全戸でトイレを使えないという。復旧は長引くとみられ、住民は階段で高層階を上り下りし、実家などに身を寄せる人もいると伝わる▼もともと大震災との関連で想定されていた高層難民だが、大雨による浸水でも起きうることを今回の台風は示した。機械室や電気設備を地下に置くことが多いとされる建物だけに、浸水対策に問題がないか京滋も含めて全国点検が必要だろう▼大型になると1棟あたり千戸を超えるタワーマンションもあり、一つの町を形成する。眺望が人気を呼び各地で建設が進むが、弱点を十分意識した備えが要る▼被害の全容はまだ見えてこないが、その一つ一つから教訓を引き出し、生かしていかねばならない。