幾何学 奏でる美のリズム

和装の世界観超え、コラボ拡大

 「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし」展が13日、京都国立近代美術館(京都市左京区)で始まる。友禅に新しい風を吹き込み、ジャンルを超えた広がりを見せる森口さんの作品世界を紹介する。

友禅着物 白地位相割付文「実り」 2013年 三越伊勢丹ホールディングス蔵

 友禅の人間国宝、故森口華弘さんの次男として、1941年に京都市で生まれた邦彦さんは、京都市立美術大(現京都市立芸術大)日本画科を経て、パリでグラフィックデザインなどを学んだ。当時のパリは錯覚による視覚的効果を狙った幾何学的・抽象的な美術作品「オプアート」が流行していた。

友禅着物「千花」 1969年
友禅着物「緋稜文」 2000年

 帰国後、華弘さんの工房で研さんを積み、幾何学模様の線の太さに変化を付けてリズミカルな印象を与える「千花」(69年)などで注目を集めた。オプアートの影響もあるが、大長智広研究員は「自然の情景を抽象化して表現した」とみる。

 花鳥風月を意匠化する友禅の伝統に連なる一方、グラフィックデザイン的な要素を取り入れ、友禅とは何かを追求していく。

 一方で森口さんは近年、和装以外の分野とのコラボレーションにも取り組んでいる。

三越ショッピングバッグ「実り」 2014年
カップ・アンド・ソーサー「実り」 2016年

 墨と赤の配色で果実が実るような情景を連想させる「実り」(2013年)は、そうした展開の原点になった作品だ。工芸展に出品された同作品を見た百貨店側の依頼で誕生したのが「三越ショッピングバッグ『実り』」(14年)。表面と裏面で幾何学模様の線に変化を付けるなど細部まで計算された模様で多くの人に親しまれている。「実り」はまた、フランス国立セーヴル陶磁器製作所とのコラボレーションにも発展した。

 ほかに作品の草稿などもあり、森口さんの制作過程や仕事の広がりを見ることもできる。

 大長研究員は「日本人の感性を伝統技術で表現し、現代的に組み合わせていく作品世界を見てほしい」と話している。



【会期】10月13日(火)~12月6日(日)。月曜休館(11月23日開館、24日休館)
【開館時間】午前9時半~午後5時。金、土曜日は午後8時まで(入館は閉館30分前まで)
【会場】京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)。
【入館料】一般1000円(800円)、大学生500円(400円)、高校生以下・18歳未満は無料。かっこ内は20人以上の団体および金、土曜日の午後5時以降の料金。心身に障害のある方と付き添い1名まで無料(要証明)。
【主催】京都国立近代美術館、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、日本経済新聞社、京都新聞