光学調査で、菩薩が建物のすぐ上を飛ぶ来迎図が浮かび上がった鳳凰堂旧東面中央扉(東京文化財研究所・城野誠治氏撮影)

光学調査で、菩薩が建物のすぐ上を飛ぶ来迎図が浮かび上がった鳳凰堂旧東面中央扉(東京文化財研究所・城野誠治氏撮影)

菩薩が建物のすぐ上を飛ぶ来迎図のイメージ図(金沢美術工芸大・荒木恵信氏作画)

菩薩が建物のすぐ上を飛ぶ来迎図のイメージ図(金沢美術工芸大・荒木恵信氏作画)

上品上生の来迎図が確認された鳳凰堂の旧東面中央扉(宇治市宇治)

上品上生の来迎図が確認された鳳凰堂の旧東面中央扉(宇治市宇治)

 平等院(京都府宇治市)は12日、江戸時代に取り外された鳳凰堂の旧東面中央扉を光学調査した結果、約千年前の創建当時の作とみられる来迎図(らいごうず)を確認したと発表した。建物のすぐ上を複数の菩薩(ぼさつ)が飛び、臨終者に向かう場面が描かれ、同院は「生前の行いなどで最上階位とされる人の来迎図と考えられる。大胆で印象的な絵だ」としている。

 旧東面中央扉は1670年に同扉を新造した際に取り外された。その後、平等院内などで保管してきたが傷みが激しく、描かれている絵は肉眼で分からなかった。2018年に修理を行ったのを機に、平等院の依頼を受けた東京文化財研究所が非破壊非接触の光学調査を19年に実施した。

 旧東面中央扉は南扉と北扉で構成され、ともに高さ約466センチ、幅約22センチの板を横に6枚つないでいた。南扉は3枚のみ現存する。今回の調査で、光を当てる角度を調節しながら写真撮影すると、南扉と北扉の中央部分(約45センチ四方)でいずれも、三角形の建物の屋根と柱、縁先のほか、山の稜線(りょうせん)の絵をとらえた。北扉では建物の周囲や屋根のすぐ上に、天衣をたなびかせて飛ぶ菩薩が4体浮かび上がった。

 蛍光エックス線分析などを行うと、南扉、北扉の絵画面全体から鉛が検出され、白色顔料が下塗りされていたと確認。菩薩の体などは同様の白色顔料で厚い彩色が施されていた。山や樹木の部分は銅が検出され、緑色顔料の緑青が使われていた可能性が高いという。

 鳳凰堂の四方の扉には、さまざまな来迎図が描かれており、現在の東面中央扉には、最上階位とされる人「上品上生(じょうぼんじょうしょう)」に関する来迎図がある。旧扉の上部にも「上品」という文字が残っていたが、「建物を縫うように菩薩が滑空する絵は現在の扉の絵にはない」(神居文彰住職)とする。

 加須屋誠・元奈良女子大教授(美術史)は「他の寺院に残された上品上生の来迎図よりも時代が先行し、貴重な発見」と指摘する。

 旧東面中央扉の光学調査写真や判明イメージ図は、平等院ミュージアム鳳翔館で公開している。