【資料写真】京都大学

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 消滅の危機にあるアイヌ語の音声を自動的に認識したり合成したりする人工知能(AI)を初めて開発したと、京都大のグループが12日発表した。博物館などに膨大に残る音声データの書き起こしなどへの活用ができるという。日本音響学会などでこのほど報告した。

 アイヌ語は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)によって「極めて深刻な」消滅危機言語に認定されている。アイヌ語では文字が使われなかったため、口頭伝承の録音・記録が戦後などに行われてきた。現在、片仮名やローマ字を使った書き起こしが行われているが、膨大な労力が課題となっている。

 京大情報学研究科の河原達也教授と大学院生の松浦孝平さんらは、北海道の国立アイヌ民族博物館や平取町立二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館にある1970年ごろのアイヌ語話者ら計10人の約40時間の音声データを分析。約400の音節に分解してAIで認識することで、80%程度まで単語認識できた。さらに10時間以上の音声記録が残る話者の声をモデルに、新たな語りの合成にも成功したという。

 河原教授は「AIによる音声データの認識は、最終的には人で調整する必要が残るものの、書き起こし作業の大幅な負担軽減につながる」と説明する。