元男子生徒の保護者が記者に寄せたメール。学校の対応のずさんさと悔しい思いを訴えた

元男子生徒の保護者が記者に寄せたメール。学校の対応のずさんさと悔しい思いを訴えた

 京都市立中学校の元男子生徒に暴言などを繰り返し、不登校になった後も不誠実な対応をしたとして、市教育委員会が当時の部活動顧問の教諭や校長ら3人を処分していたことを報じた。その際、処分の基になった市教委の調査が不十分だった点を問題として取り上げた。調査は本来、真相解明と再発防止を目的に行われるものだ。元生徒は現在も引きこもりの状態という。もう二度と学校を絶望の場にしないために、市教委には調査の在り方の見直しを求めたい。

 <言った言ってないというようなミクロな部分をはっきりさせることは困難>。取材で入手した調査報告書では、冒頭に作成者がこのように書いていた。元生徒の不登校から2年たって調査を開始したため、関係者の記憶が曖昧で問題となった指導や対応の事実認定が難しくなっていたからだ。

 保護者は元生徒から聞いた顧問の不適切な言動を、在学中に担任や校長、スクールカウンセラーらに訴えていた。だが顧問は訴えを否定し、校長はそれ以上調べようとしなかった。

 市教委の調査開始は元生徒の卒業後だ。報告書では、保護者の訴えが教職員の間でどのように伝わったか不明な部分があり事実の確認もできないと結論付けたが、時間がたてば真相の解明が難しくなるのは当然だ。保護者は「先生が否定すれば、息子の言い分はなかったことになる」と今も悔しい思いを抱える。

 そもそも市教委は調査の専門家ではなく、教職員の人事権を持っており保護者にとって公平な調査者とも思えない。対応が後手に回らないよう、問題の芽が出た時点で専門の第三者に関わってもらい、情報を整理して事態の悪化を防ぐべきだった。

 近年は、子どもの最善の利益を念頭に置き学校のトラブルの解決を目指す弁護士「スクールロイヤー」の配置が全国で進む。日弁連が2018年に出したスクールロイヤーの整備を求める意見書では、その役割について「早期に関わり、問題が深刻化して関係者が対立するのを防ぐ」と説明し、想定する活動の一つに不適切な指導への対応を挙げている。関係者の言い分が食い違うなど状況の丁寧な検証が必要なケースでは今後、こういった外部の専門性を活用するのが有効だろう。

 元生徒は17歳の今も「学校に行ってもまた裏切られる」と心を閉ざしたままだ。保護者は「自殺しようとするなど何度もSOSを出したのに、学校に踏みにじられた気持ちが息子の人間不信につながり、将来に絶望感を抱いてしまっているのだと思う」とその胸中を推し量る。

 元生徒が不登校になった年月は取り戻せない。市教委はその重さを受け止め、外部の目を生かして問題解決を図る体制を整えることが必要だ。