琵琶湖北湖の最深部は昼間でもほの暗い。水温は夏でも8度前後。一面が泥に覆われている湖底に、日本最大のプラナリアで琵琶湖固有種のビワオオウズムシは暮らす▼淡褐色のヒルのような姿で、体長約3~5センチ。世界有数の古代湖である琵琶湖に数十万年前から生息するともいう。そんな太古からの住人の行く末が危ぶまれている▼滋賀県は9日、北湖の水深90メートルで行った調査で7地点中5地点がほぼ無酸素状態だったと発表した。水深80メートルでも初めて「貧酸素」となり、湖底に住むイサザやヨコエビの死骸が見つかった。ビワオオウズムシの確認数も激減している▼琵琶湖では昨年から2年連続で、冬に表層の冷たい水が沈み込んで深層に酸素を届ける「全層循環」が確認されなかった。「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれる現象で、多様な生態系の維持に欠かせない。山地の積雪不足が影響していると指摘される▼琵琶湖では近年、水質悪化を示す窒素やリンの量が減り、赤潮やアオコの大発生は抑えられている。一方で、深層で進む異変が警鐘を鳴らす▼これまで湖国は先進的な施策や県民レベルの活動で水質改善に一定の成果を上げてきた。だが地球温暖化が問題の根っこにあれば対策も一筋縄ではいかない。ビワオオウズムシも息苦しさを増していそうだ。