1989年に発行されたきもの奥さまの漫画を集めた本

1989年に発行されたきもの奥さまの漫画を集めた本

4こま漫画を描く小池さん(京都府与謝野町上山田)

4こま漫画を描く小池さん(京都府与謝野町上山田)

「1981年あけましておめでとうございまぁーす」とあいさつする、きもの奥さまの登場人物

「1981年あけましておめでとうございまぁーす」とあいさつする、きもの奥さまの登場人物

 コロナ禍の中、これまで外ばかりに目を向けていたと語る着物姿の女性。「外出自粛の今だからこそ家の中のことをやろう!」。居間に座ると手にはテレビのリモコン。「今まで録画したドラマがたくさん! 見るのダ!」

 主人公の綸子の周りで起こる出来事をコミカルに描いた漫画「きもの奥さま」は丹後織物工業組合の機関誌「丹後織物」で、休載を挟みつつ48年間連載を続けてきた。小池早苗さん(69)は漫画家「よしださなえ」として時事の話題から自分の子育て経験まで、さまざまな日常を漫画の中に描く。

 これだけ長い連載もきっかけはひょんな出来事からだ。

 「しかられる!」。父の勧めで就職した丹工でちりめん検査員として働いていた時のこと。伝票の裏に漫画を落書きしていたのが上司に見つかった。怒られるのを覚悟したが、上司は「面白いじゃないか」。機関誌と社内報に4こま漫画の連載が始まった。

 幼い頃から少女漫画に憧れていた。高校卒業後、本当は東京でファッションデザインを学びたかったが、父の反対で断念せざるを得なかった。しかし、丹工に就職しなければ漫画家「よしださなえ」は存在しなかった。1979年に丹工を退職した後も「奥さま」を連載、人生の傍らには常に漫画があった。今は丹工と縁をつくってくれた父に感謝している。

 現在は「奥さま」のほか、京都市にある医療機関の季報向け連載や絵はがきの制作などにも忙しい。「私の知らない読者にも作品が届くのが漫画家の醍醐味(だいごみ)。人の気持ちに寄り添えるイラストや文章を描き続けたい」