南米ベネズエラの政情が混迷している。

 独裁色を強めた反米左翼のマドゥロ大統領に対し、野党指導者のグアイド国会議長が「暫定大統領」就任を宣言。「2人の大統領」の対立に、米国、中国、ロシアといった大国の思惑が絡み、世界を二分する異常事態が続いている。

 原油埋蔵量は世界一といわれる国だが、石油価格の低迷下でばらまき政策を続け、財政は破綻。極度のインフレと物不足で国民生活は困窮している。

 圧政を避けて300万人超が国外に脱出し、武力弾圧でデモの市民ら120人以上が死亡したという。失政と反政府派の弾圧を続けるマドゥロ氏に、もはや国を率いる資格があるとは思えない。

 国際社会は内戦や軍事介入で事態を泥沼化させず、新たな大統領を民主的に選び直す平和的解決の道をみつける必要がある。

 マドゥロ氏はチャベス前大統領の社会主義政策を受け継ぎ、2013年に就任。昨年5月の大統領選では、投獄や公職停止処分によって野党の有力候補者を排除し、圧勝した。

 政権の正統性が疑われるのは当然だろう。

 商店では日に何度も商品価格が上がり、国際通貨基金(IMF)はインフレ率が今年中に1千万%に達すると予測、国民の暮らしは悪化の一途をたどっている。

 そんな状況下、国際社会の対応は割れている。

 米国はベネズエラ憲法の規定を根拠にグアイド氏を暫定大統領として承認し、欧州主要国や日本も同調したが、中国やロシアはマドゥロ氏の支持を続けている。

 中ロは国営石油会社などに巨額の支援をしており、親米政権の誕生は自国の権益にかかわることなのだろう。

 だが、影響力を保持するために強権政治を利用しては平和的な解決はできない。マドゥロ氏を説得し、国民の意思を反映した政権の実現に力をつくすべきだ。

 一方のトランプ米大統領は軍事介入を「選択肢」としてほのめかし続けているが、踏み切ればキューバなどの反米感情をあおり、事態がさらに悪化する恐れがある。軽率な行動は慎まねばならない。

 食料や薬品などの不足で、ベネズエラ国民の窮状は一刻を争う。米中ロが対立をあおるようでは事態は打開できず、人道支援もままならない。

 実効性のある解決策に向けた関係国の協調行動を求めたい。