引き揚げの史実を伝承していく大切さについて聞く真菅北小の児童たち(舞鶴市平・舞鶴引揚記念館)

引き揚げの史実を伝承していく大切さについて聞く真菅北小の児童たち(舞鶴市平・舞鶴引揚記念館)

旧海軍の歴史に触れてもらおうと企画したレモネードづくりの体験を楽しむ大宇陀小の児童たち(同市北吸・舞鶴赤れんがパーク)

旧海軍の歴史に触れてもらおうと企画したレモネードづくりの体験を楽しむ大宇陀小の児童たち(同市北吸・舞鶴赤れんがパーク)

 京都府舞鶴市平の舞鶴引揚記念館に、修学旅行や社会見学で市外から訪れる小中学生が急増している。新型コロナウイルスの影響で関西圏の学校からの来館が増えたためで、9~11月には昨年同期比4倍以上の29校が訪れる予定。市は「思いがけない好機」に、舞鶴の文化や歴史を知ってもらう体験メニューを用意するなど対応に力を入れている。

 同館によると、感染拡大への懸念から、近年増えていた関東圏の学校からの予約キャンセルが続いた一方、夏以降、関西圏からの問い合わせが相次いだという。市外の学校の来館数は昨年度9~11月が7校で、1年間では22校。本年度は8月までは来館が0校だったにもかかわらず、9月以降の3カ月間だけで前年分を上回る見込みだ。

 中でも、奈良県が15校と約半数を占める。7日に同館を訪れた橿原市の真菅(ますが)北小の6年生は例年、広島県で平和学習を兼ねた修学旅行を行うが、今年は鉄道などの公共交通機関を使わずに貸し切りバスで移動でき、万が一感染者が発生した場合にも保護者が迎えに来られる場所として、同館がある舞鶴市を行程に選んだ。

 加藤徳晃教諭(25)は「終戦後も大変な思いをした人がいることを知って、子どもたちの学びが深まった。平和の尊さを知る貴重な時間になった」と振り返る。

 1日で3校来館する日もあり、語り部を担当するNPO法人「舞鶴・引揚語りの会」は特別シフトを組んで対応している。また、市などは同館以外でも体験を企画。14日に訪れた奈良県宇陀市の大宇陀小6年生は同館での平和学習の後、遊覧船で舞鶴湾を巡り、舞鶴赤れんがパークでは、英海軍が船員の「壊血病」予防のために製造し、日本の旧海軍に伝わったとされるレモネードづくりにも取り組み、舞鶴の自然や歴史に触れた。

 同館の山下美晴館長は「教育旅行で訪れる学校の幅が広がり、コロナ禍でも多くの若い人に史実を伝えられるのはありがたい。しっかり学べるまち、というイメージを持ってもらえるよう一校一校丁寧に対応し、来年以降につなげたい」と力を込める。