「最適化をしています」。以前使っていたパソコンは、こう宣言すると最適化の作業に没頭するよう設定されていた。具体的に何をしているかは、よく分からない▼それ用のツールが散らかった情報を整理したり、不用なのを捨てたりする、とのイメージはある。パソコンの処理速度は遅くならなかったので、有効な作業だったと思う▼ホンダが、英国の工場で四輪車の生産をやめると発表した。欧州では販売不振で、電動車の生産も難しい。それらを引っくるめて、社長は「生産能力の適正化のためだ」と説明した。最適化の宣言と同じようなものだ▼英国では、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」が現実のものとなりつつある。社長は明言しないが、関税などの障壁によって、ホンダの工場が「断片化」するのを避けたいのが本音ではないか▼最適化や適正化を持ち出せば、混乱する英国の政治に触れなくてもよい。考えてみると、現金自動預払機(ATM)の集約や、「みどりの窓口」の削減など、別の事象も説明しやすい。便利な言葉ではある▼最適化を実行すれば、ほかの会社も倣うだろう。英国がEUから離脱する前に、工場が英国から離脱するかもしれない。昔、「合理化」というスローガンがあった。最適化の宣言を恐れる人もいるはずだ。