滋賀県の3市長選が終わった。

 野洲市は会社役員の新人栢木進氏が初当選を果たした。甲賀市は現職の岩永裕貴氏が再選、湖南市は元滋賀県議の生田邦夫氏が初当選を、ともに無投票で決めた。

 3市とも合併による市制発足から16年となった。人口減少時代を迎え、まちづくりはより難しさを増している。

 地域の課題解決には市長の強力なリーダーシップが欠かせない。地域の実情に応じたきめ細かい市政を進める実行力を期待したい。

 栢木氏は市政刷新をアピールして有権者の支持を広げ、現職の山仲善彰氏の4選を阻んだ。

 最大の争点は、市が進めるJR野洲駅南口への市立病院移転新築の是非だった。現地建て替えを主張する栢木氏の下で現行計画は根本から見直しが迫られよう。

 計画賛成派が多数を占める議会との対応が焦点となる。市中心部のにぎわい創りの道筋をつけるビジョンの提示も急がれる。

 「湖南地域で1番の市を目指して頑張る」。栢木氏は当選後にこう述べたが、行政手腕は未知数だ。住民の多様な声に謙虚に耳を傾け、市政に臨んでほしい。

 甲賀、湖南は無投票となった。これまでの実績などが一定評価された側面はあるが、有権者の選択の機会が失われたのは残念だ。

 選挙戦で政策論争ができなかった分、現場に積極的に足を運んで民意をくみ取り、市政運営への理解を求める姿勢が欠かせない。

 岩永氏は「オール甲賀」を掛け声に協調を重視する手堅い市政を進めてきた。ただ手堅さやバランス感覚だけでなく、変化の時代に対応するには市政をさらに引っ張り、前へ進めていく行動力も必要だろう。

 2期目は旧町単位で残る公共施設の整理と小中学校再編という合併以来の難題が待つ。住民には切実な問題だけに真価が問われる。

 市制後初の市長交代となる生田氏に待ち受けるのは、まちの新陳代謝だ。谷畑英吾市政が進めてきた東庁舎建て替え計画を「ゼロベースで見直す」と表明した。

 現行計画を承認した議会との協議や厳しい財政の中で公約に列挙した施策をどう具現化していくのかが注目される。県議会議長を務めた手腕を生かし、着実に成果を挙げてもらいたい。

 滋賀県内では両市だけでなく草津、守山、栗東と近年の市長選で無投票が続いている。地域の民主主義を揺るがす危機の現れとして真剣に受け止める必要がある。