老朽化による雨漏りに、手作りのビニール覆いで対応している第二大山崎小の教室(大山崎町円明寺)

老朽化による雨漏りに、手作りのビニール覆いで対応している第二大山崎小の教室(大山崎町円明寺)

 京都府大山崎町議会で、町長と自民党系野党会派による論争が続いていることを今月、報じた。町の抱える重要課題は置き去りのまま。期待を込めて負託した住民から、無念の声や嘆きが続々と聞こえてくるのは残念だ。

 両者の対立は、2018年12月の前川光町長就任当初から激しさを増す一方だ。現在までに町が提出した一般会計予算案は、5度にわたって修正、否決された。この結果に前川町長は「少数与党だから反対は続く。次の選挙まで進まないと思う」と述べた。住民に選ばれ、町をけん引する立場の人だ。無責任とも取れる姿勢が記者を驚かせた。

 対立要因の一つは、選挙の争点ともなった中学校給食の実施方針。前町政は、センター方式での基本設計までを進め、今年9月の開始を予定していたところ、前川町長は公約に掲げた自校方式での実施を訴えて方針を変更した。

 どちらの方式が負担が少ないのかをめぐり議論が続いている。前川町長が20年間分の試算として提出した比較資料は、自校方式が今年5月に業者に委託して出した27億7500万円、センター方式は前町政時代に8割仕上がった基本設計を基に職員が概算した32億6800万円。センター方式が約5億円高くなったが、野党会派は「土台の異なる資料なので比較できない」と反論を続ける。

 ある中学生の保護者は「子どもたちを思った議論ならとっくに給食は始まっているはず」と両者の対立を悲観的に見つめる。

 議会の紛糾は別の問題にも影響している。小学校の改修問題だ。梅雨時期、第二大山崎小学校へ足を運んだ。教室では、長年続く雨漏りで黒ずんだ天井や、汚水のたまったバケツ。雨水が児童に当たらないように机をずらして配置し、ビニールの雨よけをつけていた。児童たちが「こっちのキノコも見て」と隣の教室まで記者の手を引いた。指さす先には、湿った天井の端にキノコの塊があった。

 学校によると、雨漏りは5年以上前から続いており、その都度、町教育委員会へ改修を要望していたが応急的な補修にとどまり、児童の大切な学びやは、いまだ雨水にさらされている。

 前川町長は、19年度当初予算で同小の改修工事費を計上していたが、20年3月、二重投資を懸念した野党会派が、工事前のコンクリート強度調査を求め、予算を削除した。学校現場からは「政治的な対立は子どもに何も関係ない」と無念の声がこぼれ、諦めにも聞こえた。

 12月で前川町政になってまる2年。町長や議員は、住民に選ばれた代表である以前に、一人の町民だ。住民に利益のない議論に終始し、町民が求めている願いを見落としていないか。「住民参加のまちづくり」を訴える町長は、「次の選挙まで進まない」ことを前提にするべきではないし、議会には住民のニーズを踏まえた議論を求めたい。