調査のために羽にリボンが付けられたカッコウ=撮影・高須夫悟

調査のために羽にリボンが付けられたカッコウ=撮影・高須夫悟

<いきものたちのりくつ 中田兼介>

 子育てはなかなか大変な仕事です。前回も同じようなことを書いた気がしますが、それくらい子育ては大変で、誰かに押し付けようとたくらむものがいても不思議ではありません。ということで、今回は赤の他人にさせる話です。

 例えばカッコウ。自分で巣を作らず、違う種類の鳥の巣に卵を産みつけます。すると里親は、自分の子でもないヒナにせっせとエサを運んでカッコウとして立派に育て上げます。

 この托卵(たくらん)と呼ばれる行動、カッコウだけの特殊技能ではありません。ホトトギスをはじめとして、少なからぬ種類の鳥がやってのけます。それにしても不思議なのは、托卵される側がなぜ他人の子を受け入れるのか? かえったばかりならともかく、ヒナが大きくなってくれば自分と違う種類であることくらい里親にもわかりそうなもの。なのになぜ、義理もないのに最後まで育てるのでしょう?

 米フロリダ大のジェフリー・フーバーさんたちは、托卵する鳥から受けるイヤがらせを避けるため、という説を検討しました。北米にすむ托卵する鳥コウウチョウの卵を、いくつかの里親の巣から取り除いてみたのです。コウウチョウの目からは、里親が托卵を拒んだと見えたでしょう。その結果、托卵を受け入れたときにはあまりない、コウウチョウによる襲撃が、およそ半分の巣で起こりました。卵やヒナはコウウチョウに食べられてしまい、里親は托卵を受け入れたときの6割しか自分の子を育てあげられませんでした。

 この手口は、レストランなどにみかじめ料を要求し、拒まれると店をめちゃくちゃに壊して帰るマフィアのやり方とそっくりです。この説をマフィア仮説と呼ぶのも納得です。警察のいない鳥の世界では、マフィアに従わざるを得ないのかも。これが本当なら、なんというシビアな世界でしょうか。(京都女子大教授)

◆中田兼介 なかた・けんすけ 1967年大阪府生まれ。京都大大学院で博士号取得。著書に「クモのイト」「びっくり!おどろき!動物まるごと大図鑑」など。「図解 なんかへんな生きもの」を監修。