自ら経営する焼き肉店「焼肉巧真」で奮闘する元プロレスラーの佐野さん(左)=京都市西京区山田庄田町

自ら経営する焼き肉店「焼肉巧真」で奮闘する元プロレスラーの佐野さん(左)=京都市西京区山田庄田町

1月に東京ドームで行われた獣神サンダー・ライガーさん(左から3人目)の引退試合に参戦した佐野さん(同4人目)=佐野さん提供

1月に東京ドームで行われた獣神サンダー・ライガーさん(左から3人目)の引退試合に参戦した佐野さん(同4人目)=佐野さん提供

 新日本プロレスなどで活躍したプロレスラー佐野直喜さん(55)が今月11日に引退し、京都市内で焼き肉店の経営に本格的に乗り出した。観客を魅了した現役時代の闘志あふれるスタイルはそのままに、人生第2のリングでも、真っ向勝負を挑んでいる。

 西京区山田庄田町の焼き肉店「焼肉巧真」。店の扉を開けると正面には覆面レスラーの獣神サンダー・ライガーさんの覆面が飾られている。壁一面には、プロレスラーや有名人のサインとともに、蹴り技や空中殺法を決める佐野さんの写真も並ぶ。店名の巧真は、現役当時のリングネームだ。

 北海道苫小牧市出身の佐野さんは、1984年3月に新日本プロレスでデビュー。入門当時はアントニオ猪木さんたちと練習に励んだ。得意技はローリングソバットやタイガースープレックス。ライガーさんとは長年のライバルで、しのぎを削った。89年にはIWGPジュニアヘビー級王座に輝いた。

 「食べるのが好き」という佐野さん。引退後のセカンドキャリアは飲食店をしたいと考え、2012年から東京の知人が経営する焼き肉店で働き始めた。

 独立を考え、都内で店舗を探していた18年1月、京都市西京区で義母が営んでいた薬局店を病気で畳むことになった。その店舗を佐野さんが引き継ぐ形で、同年12月に焼き肉店を開業した。

 しかし、プロレスと店の両立には苦戦したという。昼に2時間、ジムでトレーニングした後、夕方から仕込みの作業に入る。閉店後の午後11時以降も店内を清掃し、就寝するのは午前2時。それでも、「プロレスの声援と同じで、つらい時もお客さんが笑顔で食事をしていると疲れは吹き飛ぶ」とやりがいを感じた。

 今年に入り、新型コロナウイルスの影響をまともに食らった。4月は午後8時までの時短営業を強いられ、来客がゼロの日もあった。不安もあったが、「もう、できることをやるしかない」と耐え抜いた。体力維持が難しくなり現役を引退。これからは焼き肉店一本で勝負していこうと、覚悟を決めた。

 メニューは、カルビやロースといった定番をはじめ、一押しの亀岡牛のリブ芯ステーキなど、幅広く提供している。「プロレスファンにも地元の人にも愛されるよう、この店を力の限り続けたい」と佐野さんは燃えている。