航空業界が激しい乱気流にのみ込まれている。新型コロナウイルス感染の世界的流行が巻き起こしたものだ。

 各国の出入国制限や空輸需要の縮小によって路線の運休、大幅減便を余儀なくされている。

 収入激減で赤字が積み上がり、国内外で事業の縮小・撤退や経営破綻に追い込まれる航空会社が出ている。

 コロナの影響は長期化が避けられそうにない。

 近年の旅行需要の拡大に沿った航路網や、輸送効率を追求したビジネスモデルを含め、航空事業全体が抜本的な見直しを迫られている。

 最大の逆風は、国際線がほぼ止まっていることだ。

 全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスは本年度、純損失が5300億円前後と過去最大の赤字を見込む。

 出入国規制が続き、稼ぎ頭だった国際線の4~8月旅客数が前年同期のわずか約4%と激減している影響だ。

 国内線は、国の観光支援策もあって回復傾向がみえるが、国際線は欧州の爆発的な再流行などで視界が開けない。

 日本航空も同様で、コロナによる国内航空会社の減収額は、既にリーマン・ショック時をはるかに上回る厳しさという。

 海外でも今春以降、世界的大手のタイ国際航空や、オーストラリア国内で2位の航空会社が経営破綻した。各国の大手航空も政府に支援を求めたり、事業再編に動いたりしている。

 ANAは、国際線の需要回復は当面望めないとみて長距離用の大型機を半減させる。給与カットや希望退職募集でも経費削減を図るが、資金繰りのため巨額の負債が膨らんでいる。

 運航路線の縮小にも手を付ける構えで、東京五輪・パラリンピックを見据えた拡大戦略を急旋回せざるをえまい。

 さらに厳しい風当たりに揺れているのが、格安航空会社(LCC)だ。

 今月初め、国内を拠点とするエアアジア・ジャパン(愛知県)とジェットスター・ジャパン(千葉県)が事業撤退や運休を相次いで発表した。

 これまでLCCの躍進を支えてきたインバウンド(訪日外国人)増加の追い風が、一気に向かい風に変わった。座席の間隔を狭くして数を増やすなど、効率化を進めて価格を下げ、高い搭乗率を維持するというビジネスモデル自体が転換点に立たされている。

 観光客を増やそうとLCC路線を誘致してきた地方空港にとっても試練といえる。

 国土交通省は2017年、32の地方空港を「訪日誘客支援空港」に選定。新規就航するLCCの着陸料軽減などで後押ししてきたが、状況は一変した。

 同省は今月、航空会社への支援策として、羽田をはじめ国管理などの21空港の使用料を一部減額すると打ち出したが、各社の厳しい経営の下支えには十分といえまい。

 政府が掲げてきた「観光立国」や国内産業、地域経済にとって、コロナ時代に求められる航空インフラをどう再構築していくかが問われよう。