山本さんから餌をもらう猫たち(京都府南丹市日吉町の男性宅)

山本さんから餌をもらう猫たち(京都府南丹市日吉町の男性宅)

 5匹の猫を飼っていた京都府南丹市日吉町の高齢男性が7月に高齢者福祉施設に入って以降、近くの住民が持ち回りで餌をやり、見守っている。ただ、1日1回の餌やりをいつまでも続けるのは難しく、冬へ向かう中、住民は「愛情を持って飼ってくれる人がどこかにいないか」と引き取り先を探している。

 独居だった90歳の男性は明るい性格で猫好きだった。体調が悪化し、近くの施設への入所が決まると、残される猫をどうするかという問題が持ち上がった。男性から以前に子猫を譲り受け、「めぐみ」と名付けて育てている山本和美さん(63)は「5匹のうちの1匹はめぐみのきょうだいだと思う。見捨てておけない」と考え、近くの4人で餌を与えることにした。

 山本さんたちが男性宅に向かうと、車の音を聞きつけた猫が集まってくる。山本さんと船越悦子さん(67)が「おーい」と呼ぶと「みゃーお」と鳴く。三毛猫と茶白の猫は置かれた餌に夢中だ。「毎日ご苦労さんやな」。農作業中の男性や散歩中の女性が声を掛けていく。当初は警戒心をあらわにしていたが、最近は体を触らせる猫もいるという。

 5匹は3~8歳前後と推定される。オス2匹は去勢されていないが、メス3匹は不妊手術済みのため、子猫が増える事態は当面は避けられるとみられる。問題は冬の寒さだ。山あいに位置する男性宅がある地区では時に膝丈を越える雪が積もる。餌の費用も、現在は男性が支出しているが、いずれ限界が来る。

 男性のケアプラン作りに携わった市社会福祉協議会日吉事務所の長内みずきさん(42)は「猫の写真を社協の事務所に張って、飼い主を募りたい」と話す。

 日吉町ボランティア連絡協議会の会長で、餌を与えている地元の鍋田和夫さん(66)は「高齢、過疎社会を象徴する事例」とみる。地区の高齢化率は4割に上り、独居が少なくない。今後、同様の事案が各地で広がる可能性もある。鍋田さんは「なんとか良い形を見つけられたら」と願う。

 引き取りなどに関する問い合わせは同事務所の長内さん0771(72)3022。