アンケート結果

アンケート結果

 香織さんがプロジェクトの一環として企画したのは、学生を対象にしたアンケート。実態を多くの人に知ってもらうには、客観的なデータを集める必要があると考えたからだ。9月9日から10日間、ホームページやツイッターを通じて質問すると、1518人から回答があった。

■「やる気が出ない」「理由もなく涙が」

 前期期間中、キャンパス内外で会った大学の友人の数を尋ねると、ほぼ半数が「会っていない」と回答。休学や退学を考えたかどうかの設問には31%が「ある」と答えた。後期は対面授業を希望するかとの問いには、「希望する」と「やや希望する」を合わせて7割に達した。オンライン授業が続く状況下での体調、精神状態を尋ねると、「やる気が出ない」(860人)、「理由もなく涙が出る」(334人)と多くの学生がメンタル面の不調を訴えた。

 自由記述欄には「もう自宅軟禁は嫌だ!」「授業に集中できずうつ状態」「パソコンの見過ぎで体調不良」「精神が崩壊する」などと不安や戸惑い、怒りの言葉が寄せられた。

 香織さんたちは、こうした声をインターネットで発信した。学生を取り巻く過酷な現状はようやく社会の関心を集め、政治をも動かし始めた。萩生田光一文部科学相は9月、京都大を訪れた際、「学生から悲鳴が上がっている」として後期から対面授業を再開するよう要望した。また、プロジェクトが10月に実施した2回目のアンケート結果に自民党の衆院議員が反応し、菅義偉首相にこのアンケート結果を手渡したことを自身のツイッターで明らかにした。

 文科省が8~9月、全国の国公私立大(短大含む)と高等専門学校1060校を対象に実施した調査では、後期授業で「全面対面」を実施予定としたのは205校(19%)、オンラインを併用しての対面は849校(80%)に上った。実際、京都でも多くの大学が後期以降、対面授業の再開にかじを切っている。

■妹は通学を再開

 それでも、香織さんの表情は晴れない。香織さんの大学も対面授業の一部再開を公表しているが、受講している授業は全てオンラインのままで対面はゼロだ。「大学が公式に発表しているほど対面授業の割合は高くないのではないか」といぶかしむ。

 別の大学に通う妹は週2日のペースで通学を再開した。「どんな服を着て行こうか」。楽しそうに話す姿を見るたび、心が沈む。先日、ウェブ上で実施されているメンタルヘルスチェックを受けたところ、「中等度うつ病」との結果が出た。香織さんはため息まじりにつぶやく。「孤独感や不安感で夜も眠れず、食欲もない。いつになったら大学に通えるのか」