食べ残しを持ち帰れる飲食店。プラスチック容器も「ドギーバッグ」の一つだ(大津市皇子が丘2丁目、大津京ダイナー)

食べ残しを持ち帰れる飲食店。プラスチック容器も「ドギーバッグ」の一つだ(大津市皇子が丘2丁目、大津京ダイナー)

 節分の恵方巻きの大量廃棄問題で、改めて注目を集めた「食品ロス」。大津市は食品ロス削減策の一つとして、飲食店での食べ残しを客が持ち帰るための容器「ドギーバッグ」の利用を呼び掛けている。自治体としては先駆的な取り組みだが、食中毒を懸念する店舗が多く、広がっていない。海外発祥の「持ち帰り文化」は日本で根付くのか。

 「お持ち帰りにされますか?」。大津市皇子が丘2丁目のイタリア料理店「大津京ダイナー」。客が頼むと、従業員は皿に残っていたローストチキンを容器に入れて手渡した。

 同店では約1年前から食べ残しがありそうな時、客に問い掛けた上で持ち帰り用の容器を提供している。利用客は月3組程度と少ないが、前川稔幸代表取締役(48)は「1人の持ち帰り量は少なくても、結婚式の2次会など団体客の場合、ごみ削減の効果はあると思う」と話す。

 食品ロスは全国で年間600万トン超に上り、1人が毎日茶碗1杯分を捨てる量に相当するとされる。大津市では、家庭から出た生ごみの抽出調査で26%が食品ロスに該当。全国水準より多いことが分かった。

 市は食べ物の適量を意識する「食べきり」の呼び掛けと併せて、昨年2月から可能な範囲で食べ残しを持ち帰るドギーバッグ運動を開始。市内の飲食店1200店に使用ガイドを記した冊子を配布した。

 ただ開始から丸1年、店側の反応は鈍く、ドギーバッグを使っているのは市の把握分で数店にとどまる。

 店側が二の足を踏む原因は食中毒だ。市が昨年、複数の飲食店を訪ねて使用を依頼したところ、「食中毒が怖いので使えない」と断られたり、導入済みの店でも「イメージが悪くなるので、使っていることをオープンにはできない」と言われたりしたという。市は「客が持ち帰ると、店側の目が届かなくなる。心配を取り除くのは難しい」(廃棄物減量推進課)とする。

 食品ロスの削減を目指す自治体間ネットワーク事務局(福井県)の担当者は「ドギーバッグは有効な取り組みの一つだが、食中毒の報道があるたびに敬遠され、なかなか日本に根付かない」とこぼす。

 大津市は、冊子で食中毒のリスクに触れた上で「十分に加熱された食品を提供する」「外気温が高い時は持ち帰りを休止するか、保冷剤を」などと衛生上の注意点を明記。市保健所は「これらをしっかり意識すれば食中毒は防げる」とする。

 ドギーバッグ普及に取り組む横浜市は、飲食店紹介サイトの運営会社と共同でオリジナルの容器と袋を作り、昨年から市内の飲食店に配布している。おしゃれなデザインで、担当者は「バッグ利用のイメージを良くするのが狙い。なかなか好評で、店からごみの廃棄が少なくなったという声も聞いている」と手応えを語る。

 大津市内の飲食店などでつくる市食品衛生協会の和田博会長(62)は、食べ残しそのものを減らすことの必要を強調した上で、ドギーバッグについて「食中毒の心配はあるが、行政と市民の意識次第で広められる。環境のためにも定着してほしい」と話した。