池干しで底があらわになった広沢池。澄んだ朝の光を浴びて輝いていた(1月28日、京都市右京区)=小型無人機から

 氷点下の夜明け。雨上がりのグラウンドのように湿った地面に、朝日が差す。曲がりくねった小さな流れや、あちこちに張った薄氷がキラキラ輝いていた。
 広沢池(京都市右京区)は、師走恒例の「鯉揚げ」に合わせて池の水を抜く。「池干し」といわれ、冬場だけに見られる光景だ。
 池干しは、養殖したコイを水揚げすると同時に、池のメンテナンスの役割も果たす。たまった泥を流して池底に日光を当てる。有機物の分解が進んで水質が改善されるという。
 周囲は約1・3キロ。千年以上前からかんがい用水として地域の農業を支えてきた。現在は清滝川から水を引く。2010年に農林水産省の「ため池百選」に選定された。
 桜や送り火の「鳥居形」、燈籠流し、秋の名月。四季折々に嵯峨の情景を、その水面(みなも)に映し出す。
 3日には排水門を閉じて貯水を始めた。約ひと月かけて満水になる頃、リフレッシュした広沢池に春の足音が聞こえる。