いも観音を前に語り合う保存会のメンバーと對馬さん(左)=長浜市木之本町黒田

いも観音を前に語り合う保存会のメンバーと對馬さん(左)=長浜市木之本町黒田

村人が田に隠して戦火から守ったいも観音さん

村人が田に隠して戦火から守ったいも観音さん

 観音の里・滋賀県長浜市木之本の安念寺に伝わる「いも観音」のお堂が老朽化し、住民がクラウドファンディング(CF)を通じて支援を呼び掛けたところ、目標額を大きく超える寄付が集まっている。当初お堂の外側のみの修理予定だったが、内部の修復も可能になった。保存会のメンバーは「われわれがしっかり守っていく」と誓いを新たにしている。

 いも観音として伝わるのは10体。多くが平安期の作とされ、賤ケ岳の合戦の際に村人が田の中に隠して守った。いものように土を洗い落としたため、この名が付いたという。手足は破損し、多くが朽ちて表情も分からない。近年東京で展示されて注目を集めた。

 安念寺のある西黒田地区は10戸の小集落。寺は無住で、毎月お金を積み立て石段の手すりや雪囲いの設置などに充ててきたが、底をついた。昭和初期建築の観音堂の縁板がかびや腐食で傷み、十数年前には17体のうち7体が盗難に遭った。

 途方に暮れた藤田道明代表(74)ら保存会の3人は、湖北を拠点に「観音ガール」として仏像の魅力を発信する對馬(つしま)佳菜子さん(27)に相談し、8月13日にCFを始めた。9月20日に目標の200万円を達成し、その後、第2目標の350万円に到達。10月28日現在、530万円を超えた。東京で仏像を見た人や若い人からも支援があるという。超過金額は災害の際に使う積み立てに回す。

 藤田さんは「照明も替え、台座も設置したい。支援してくれた人にはできる限り電話でお礼を言っています」と喜ぶ。對馬さんは「無指定の仏像でこれだけ支援が集まるのはすごい。ネットを使った『講』のようなもので、全国各地に広がればうれしい」と話す。CFの期限は10月31日まで。来春着工の予定という。