コメの消費減少に、新型コロナウイルス禍が拍車を掛けたといえよう。

 農林水産省が、2021年産の主食用米について、需要に見合った全国の生産量は679万トンで、20年産米の直近予測に比べ56万トン減少するとの見通しを示した。

 これは、国が04年度から主食用米の生産数量目標の配分を始めて以降で最大の落ち込みである。

 供給過剰との予想から、20年産米の取引価格が6年ぶりに下落し、農家の収入にとって打撃となることが懸念されている。

 半世紀ぶりのコメ政策の大転換とされた18年産からの生産調整(減反)廃止以降も、国は農家への転作補助金を通じて米価を下支えしてきた。だが、消費者のコメ離れに歯止めがかからない現実との矛盾に加え、コロナ禍による需要減が追い打ちとなった。

 改めて減反廃止などの妥当性を含め、将来を見据えたコメ政策の再点検が急務だろう。

 国内のコメ需要は、人口減少や食の多様化などで減少が続いている。1人当たりの年間消費量は19年度に53キロで、ピークだった1962年度の半分以下だ。そこにコロナの感染拡大が直撃し、緊急事態宣言や外出自粛などにより、外食向けの業務用需要が著しく落ち込んだ。

 農水省が、例年より約1カ月も早く需給見通しを公表したのは、各産地に主食用米以外の飼料用などへの切り替えを促す狙いといえる。

 だが、需要減に応じた50万トン相当の減産には、10万ヘクタールもの作付面積削減が必要になる。東京ドーム約2万1千個分という途方もない広さで、対応するのは極めて困難だ。

 同省は減反政策の廃止後、手厚い補助金で主食用米から麦、大豆や加工用米、飼料用米などへの転作を促進。それをてこに各府県が生産量の「目安」を設けることで、コメ余りと値崩れの抑制を図ってきた。

 半面、米価の高止まりがさらなる消費減少の悪循環を招いてきた面も否めない。行きすぎた保護策は、コメ生産を農家経営の自主的な判断に委ね、農業の強化と消費者の利益の双方を図ろうという減反廃止の趣旨にそぐわないことを再認識する必要があろう。

 政府が推進してきた農産品の輸出強化や、インバウンド(訪日外国人)増加をにらんだ外食向けの拡大戦略も、コロナ禍による環境激変で見直しは避けられまい。