菅義偉政権が看板政策の実現へ早くも動きだした。総務省は、携帯電話料金の値下げを狙ったアクションプラン(行動計画)をまとめた。事業者間の競争が促され、現実に家計の負担軽減につながるだろうか。

 行動計画は、利用者が契約する会社の乗り換えをしやすくする施策に重点が置かれた。電話番号の引き継ぎを原則無料化し、メールアドレスをそのまま使える仕組みについても年度内に検討するとした。

 乗り換えの受け皿として期待される格安スマートフォン事業者の数は少なく、現状では選択肢が十分に示されているとは言いがたい。「第4の携帯」として期待を集めた楽天も、自前の回線網の整備で後れを取っている。

 透明性や魅力のある料金、サービスを事業者が提供する契機となるかが問われている。

 今回の計画は、市場の活性化に向け、大手が貸し出す回線の使用料を引き下げたり、電波の割り当てに行動計画の取り組み状況を加味したりする方針も盛り込まれた。ただ、新規参入を促し、価格競争につなげられるかは未知数だ。

 政権の意向を受け、大手3社は、割安の料金プランを次々に打ち出すが、国際的に特に割高とされる大容量プランが中心だ。

 動画視聴などで大量のデータを使う場面は限られており、低量プランの契約者は値下げの恩恵を受けられないとの指摘もある。

 携帯電話は、日常のコミュニケーションや仕事、防災などで今や生活必需品と言える。料金について政府は、公共の電波を使って事業展開する以上、鉄道運賃や水道料金などと同じく、認可や届け出が必要な「公共料金」とみなそうとしているかのようだ。

 大手3社が市場を寡占して、料金が高止まりした現状は好ましくない。

 だが、サービスの対価は原則、自由競争で決められるべきだ。政府の恣意(しい)的な介入は極力避けなければならない。

 菅氏は、官房長官時代から携帯料金をやり玉に挙げ、「4割程度下げられる余地がある」と主張してきた。通信料金と端末代の分離や契約違約金の引き下げが行われたが、目立った値下げの成果は出ていない。

 携帯電話の料金プランは、複雑で理解しにくいとの声が聞かれる。政府や携帯会社は、利用者の視線に立ち、メリットを実感できるサービスの実現に向けてさらなる工夫が必要だ。