行き場のない近江牛を手に取ってほしいとPRする森村さん(近江八幡市武佐町・森村商会)

行き場のない近江牛を手に取ってほしいとPRする森村さん(近江八幡市武佐町・森村商会)

 新型コロナウイルスの影響で、日本三大和牛の近江牛の需要が落ち込む中、滋賀県近江八幡市武佐町の卸業者森村商会が生産者らの苦境を伝え、行き場のない牛肉を食べてもらおうと卸値に近い金額で切り落とし肉やステーキ肉などを返礼するクラウドファンディング(CF)で寄付を募り、人気を集めている。

 同社は市内で牧場を運営し、県内外のレストランや結婚式場などに近江牛を卸している。一時期は1頭あたりの枝肉の売値が50万円ほど下落し、売り上げが例年の3割を切った。

 消費が激減する中でも、品質を維持するために、これまで通り生後3年弱で牛を出荷する必要がある。売れ残りの多くは冷凍保存するが、手塩にかけて育てた牛を新鮮なうちに食べてほしいとの思いが募った。

 近江牛はふるさと納税の返礼品としても人気が高い。外出自粛期間中に「おうちごはん」がはやり、当初は通信販売も考えたが、直接売ることのなかった消費者への販路拡大などにつなげようとCFを企画した。

 返礼品は3千円の牛カレーと、すき焼き用やしゃぶしゃぶ用などにカットした5千~10万円の近江牛で、来年2月ごろに発送する。普段よりも少し安い値段で手に入れられると評判で、最初の目標額だった50万円を3日で達成した。

 森村伸一代表(72)は「上質な肉が余り困っている。ぜひ手に取ってほしい」と話す。寄付は11月30日まで、CFサイト「FAAVOしが」で受け付ける。