京都の伝統技術と柿渋を使ってマスクを制作した学生たち。「外国の人にも使ってほしい」と願う(京都市中京区)

京都の伝統技術と柿渋を使ってマスクを制作した学生たち。「外国の人にも使ってほしい」と願う(京都市中京区)

 同志社大の学生3人が、京都の伝統工芸の技術、引き染めを使ったマスクを職人と開発して販売を始めた。染料に天然の柿渋を使い、若者に人気が出るようデザインにこだわった。新型コロナウイルス流行の中、「社会に役立ちたい」との一心で始めたが、好評だったことを受けて独自のブランドを立ち上げ、本格的に商品開発を始めている。

 経済学部3年の高永雅人さん(20)と福原壮太さん(21)、商学部3年の上田雄太さん(21)。今年4月、コロナ禍で大学の授業がオンラインになり自粛生活を強いられ、かえって社会に役立つ活動をしたい気持ちが強くなったという。

 当時、国内はマスク不足が深刻だった。カナダに留学経験もあった高永さんは、海外での着用率が低いことも気になった。工芸の技を活用し、見た目や機能性に富んだ、京都らしいマスクなら、国内外問わずに多くの人に使ってもらえるのではないかと考えた。

 しかし、3人とも職人につては全くなかった。インターネットで伝統工芸品の工房を検索し、片っ端から電話をかけていくと、5件目の亀岡市内の染色工房「山宗染工」の山岡優社長(39)が真剣に耳を傾けてくれた、という。

 3人は、山岡社長と相談し、天然の染料で、抗菌作用もあるとされる柿渋を使い、伝統技法の引き染めで加工した布地でマスクを作ることにした。柿渋は茶色だが、若者に黒っぽい色のマスクが流行していることから、色違いも作った。鼻から耳への角度を工夫し、ずれにくいようにした。

 完成品は好評で、9~10月中旬に京都市内で行われた京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」では、事務局から200枚の注文が入った。さらに亀岡市のふるさと納税の返礼品にも加わることになったという。

 3人は新たに「京もの屋SEKIROKU」というブランドを設立し、柿渋を利用した別の商品開発も企画している。代表の高永さんは「柿渋の奥深さに魅せられ、アイデアが形になる面白さも知った。学生の話を真剣に聞いてくれた山岡社長に感謝し、今後もいい商品を生み出したい」と意欲を見せている。マスクはホームページ「京もの屋SEKIROKU」で販売。送料込で1920円。