今月24日朝、京都府与謝野町の民家近くで、クリ拾いから戻ろうとした男性がクマに襲われ、頭にけがをした。

 27日には、彦根市の市道をクマ3頭が横切るところを、住民が目撃している。

 京滋だけでなく全国各地で、クマの出没が相次いでいる。

 今月に入って、新潟、秋田両県で、クマに襲われて2人が死亡する被害もあった。厳重な警戒が必要だ。

 環境省によると、今年4~9月の各地における出没数は、1万3670件に上った。公表している2016年度以降の同期比で、最多である。

 同省は今週、農林水産、警察など関係する省庁と、対策会議を開いた。

 出没時の連絡態勢を整え、住民への注意を喚起し、被害の防止策を徹底するよう、都道府県に通知することになった。

 防止策をまとめた対応マニュアルの周知を図るとともに、最新の知見を加えた改定も行う予定にしている。

 重大な被害が生じてからでは遅い。対応を急いでほしい。

 出没数の増加について、環境省の担当者は、本来なら減るはずの夏にも増えており、これまでと違う傾向がある、と分析する。

 20年ほど前の調査では、主に山間部で生息していたが、近年は、平野部や海沿い、都市部などでも確認されている。団地や商業施設にも現れた。

 個体数自体が増えている可能性も、あるだろう。

 今年は、クマが好んで食べるドングリが凶作とされる。山間部で餌が不足していることも、影響しているようだ。

 何より、過疎化に伴って里山が荒廃し、クマが人里に近づくハードルが低くなったことが、主な原因だとする。果樹園などで、被害が発生している。

 これでは、餌が少なく冬眠をする時期を迎えても、警戒を緩められないのではないか。

 生態に変化がみられるのなら、詳しく調査して、新たな対策を打つべきだ。

 京都府では、ツキノワグマを府レッドデータブックの絶滅寸前種に指定し、保護している。しかし出没数の増加を受けて、見直しが検討されている。やむを得ない措置なのかもしれない。

 一方で、里山の荒廃を防ぐなど、人とすみ分ける工夫も重ねてもらいたい。