八幡市立図書館の自動車文庫(同市欽明台・美濃山コミュニティセンター)

八幡市立図書館の自動車文庫(同市欽明台・美濃山コミュニティセンター)

壁一面に本棚が設けられた自動車文庫の車内(同市欽明台・美濃山コミュニティセンター)

壁一面に本棚が設けられた自動車文庫の車内(同市欽明台・美濃山コミュニティセンター)

 図書館の本を積み込んで巡回する昔ながらの自動車文庫の利用が、京都府八幡市で好調だ。全国的には廃止が進んでいるが、来館が不便な地域を走り、利用者に合わせた資料を用意するきめ細かなサービスが人気を呼んでいる。八幡市立図書館は今年、新車を導入し「高齢化やニーズの多様化が進む現代でこそ必要な取り組み」としている。

 10月下旬の夕方、八幡市欽明台の美濃山コミュニティセンター前に約1100冊を積んだ黄色いトラックが到着すると親子連れ約20人が集まり、車内の本棚や屋外に並べたコンテナから好みの本を探した。

 小1の娘とよく訪れる女性(47)は「歩いて行ける範囲には図書館がないが、近所に来てくれる自動車文庫は子どもだけでも利用できてありがたい」と話す。

 同館は1976年に自動車文庫を始め、2館ある市立図書館から離れた市東部の集会所など26カ所を3週間ごとに巡回する。昨年度は約1万5千冊が借りられ、5年前に比べて4千冊ほど増えた。

 「近年開発が進んだ住宅地の中を細かく回ることで需要を取り込めた」と同館。巡回先に応じて本を積み替えるのも人気の一因だ。子どもが多い地域では児童書を中心にし、高齢者が集まる地域では大活字本を用意する。

 「おすすめの時代小説を持ってきて」といった要望にも応えており「利用者と顔が見える関係なので、細かなニーズに対応できる」としている。

 山城地域では他に、京田辺市立図書館と精華町立図書館も自動車文庫を走らせている。

 京田辺では図書館がない市南部などで年間約5万1千冊が借りられ、利用は堅調だ。交通の便が悪い新興住宅地や山間部でニーズは高いという。

 精華では昨年度約9千冊を貸し出したが、小学校の図書室の整備などで利用が減少。「平日昼間の巡回が時代に合わない」と担当者は課題を挙げる。

 井手町図書館も12年から町内2カ所で出張貸し出しをしているが「各10人ほどの利用にとどまっており、周知を進めたい」とする。