荘厳の寺宝まばゆく

 お寺にはなぜ国宝、重要文化財などの文化財が多いのか。答えはそれが必要だから。伝来の美術品や文化財は寺の行事で用い、あるいは、その空間を彩るために作られた。本展は、相国寺(京都市上京区)の行事を荘厳(しょうごん)してきた寺宝の数々を紹介する。

重要文化財 竹林猿猴図屏風 長谷川等伯筆 桃山時代 相国寺蔵

 相国寺は6月に観音懺法(せんぼう)、10月に開山忌を催す。観音懺法は罪をざんげする法要で、本尊となる白衣観音画像など多様な絵画を飾った堂内に、独特の節回しの読経が響く。それは「相国寺の声明面(づら)」とも称される。

観音図 狩野探幽筆 猿猴図 狩野尚信・安信筆 江戸時代 相国寺蔵

 展覧会では、江戸時代、相国寺僧が後水尾院の仙洞御所で観音懺法を行ったときの法具を中心に展示する。後水尾院は古典を尊び、宮廷文化の再興に力を注いだ人で、相国寺には縁の深い存在だった。細やかな透かし彫りの華皿(けざら)、シンバルのような楽器「鈸(ばち)」なども行事の一端を伝える。

胡銅蟠龍文三具足 燭台 観音懺法法具 後水尾院寄進のうち 江戸時代 相国寺蔵

 10月の開山忌は、同寺第1世である夢窓疎石の遺徳をしのぶ。展示では姿を写した頂相(ちんそう)や墨蹟(せき)などを出品する。

重要文化財 十六羅漢図 陸信忠筆 16幅のうち 元時代 相国寺蔵

 ほかに正月の修正会(しゅしょうえ)を飾る原在中「釈迦(しゃか)十六善神像」など折々に堂内を飾る仏教美術の名品を展示。重要文化財の陸信忠筆「十六羅漢図」を並べた場に立てば、祈りの空間の迫力がおのずから伝わるだろう。

胡銅蟠龍文三具足 花瓶 陸奥大掾造 相国寺蔵
胡銅蟠龍文三具足 香炉 陸奥大掾造 相国寺蔵

 同寺の核となる名品群で、仏教美術の精華を振り返る。



【会期】11月1日(日)~2021年1月17日(日)※12月27日(日)~2021年1月5日(火)は休館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入ル)
【入館料】一般800円、65歳以上・大学生600円、中高生300円、小学生200円
【問い合わせ】相国寺承天閣美術館075(241)0423
【主催】相国寺承天閣美術館、日本経済新聞社、京都新聞
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会期の変更や入場制限を行う場合がある。最新情報は館ホームページで確認を。