京都市バス内で乗客の対応をする車掌「バスガール」(1961年8月、京都市内)

京都市バス内で乗客の対応をする車掌「バスガール」(1961年8月、京都市内)

 ご年配の方なら覚えておられるのではないか。かつて京都市バスには車内で切符を販売する車掌がいた。特に女性は「バスガール」と呼ばれ、市民に親しまれていた。


 車掌は1983年8月に全廃。32年の時を経た2015年夏、市交通局は復活を検討したことがある。四条通歩道拡幅で車道は片側1車線に減り、停車するバスが渋滞を引き起こしたためだ。降車の際、乗客が運転手に1日乗車券購入や道案内を求めたりしたことも一因で、「車掌がいれば停車時間を短縮できる」との考えだった。


 バスに車掌を乗り込ませる“実験”も行った。乗客1人当たり最大1・4秒停車時間は短縮したが、満員になった車内では身動きがとれず、十分な効果はなかった。


 そんなこと、実験せずとも分かるだろう、とのお叱りはごもっとも。ただ当時の四条通を走るバスは「歩いた方が早い」と称されるほどで、市民や議会から批判が殺到。職員は疲弊し、「考えられる対策は全部やる」ところまで追い込まれていた。


 市バス経営は厳しさを増し、車掌が復活する可能性はほぼないだろう。ただ約60年前、京都新聞の取材に応じたベテランのバスガールは「命令口調はご法度。ございます、願いますと使うよう(若手に)口を酸っぱくして教えている」と語っている。この精神は引き継いでもらいたい。