新たな市町村連携制度として政府が検討している「圏域」について、全国の自治体の34%が反対していることが共同通信のアンケートで分かった。

 賛成は30%にとどまっている。中心となる市に財源や権限がいっそう集中するとの見方が強い。「地域が衰退する」との危機感が強いことがうかがえる。

 政府は地方制度調査会の主要テーマとし、来年夏までに一定の結論をまとめる方針だが、慎重な議論が必要ではないか。

 国からの制度の押しつけではなく、自治体の判断を尊重し、地域のことは地域で決めるという自治の原則を踏まえるべきだ。

 圏域は総務省の有識者会議が昨年7月に提言した。2040年ごろの日本は人口が年間約90万人減る一方で、団塊ジュニア世代が高齢者となり、65歳以上が約4000万人とピークに達する。

 人手不足により、市町村単独で全ての公共サービスは提供できなくなるという問題意識はうなずける。だが、すでに「連携中枢都市圏」や「定住自立圏」などの制度があり、自治体間の連携はさまざまな形で取り組まれている。

 アンケートでは現行制度については肯定的な意見が多く、評価の違いが際立った。

 新制度は圏域を法律上の行政主体と位置づけ、一定の権限や財源を移すことを想定する。まちづくりや産業育成、教育・医療体制の構築など利害調整が難しい行政課題で合意形成を容易にする。

 一方で、自治体の独自サービスがしにくくなり、自治が失われる恐れもある。

 安倍晋三政権は「地方創生」を掲げ、総務省も近年、合併ではなく連携を推進してきた。新制度は連携というより、合併に近いとの警戒感があるのではないか。

 人口の東京一極集中も一向に是正できていない。

 政府は先ごろ、地域経済の中心を担う「中枢中核都市」を選んだが、周辺都市からは「ミニ一極集中が起きる」との声が上がった。小さな自治体が切り捨てられるとの切実な訴えに耳を傾けたい。

 とはいえ現状のままでは、住民の生活を支える行政サービスの維持は容易ではない。地方の不安は、人口減少時代に自治の将来像がきちんと描けていないことに起因するのではないか。

 国の制度を待つだけではなく、自治体側からも知恵を出し、あるべき地方分権の姿を示す気概を持ってほしい。