竹林にいたネコ。左耳が切られており不妊手術済みと思われる

竹林にいたネコ。左耳が切られており不妊手術済みと思われる

<いきものたちのりくつ 中田兼介>

 ネコと人間の付き合いは長きにわたっています。さかのぼること9500年前には、キプロス島でネコが人間と並んで埋葬されています。ネコは、エジプトまたは東地中海沿岸地域で家畜化されたと考えられており、人間の交易活動にともなって世界中に広がりました。日本では、2017年からネコの飼育頭数がイヌを上回っており、昨年は977万8千頭に及んだとのことです。

 そんなネコ、かわいいかわいいだけで済むかというと、そういうわけにもいきません。ペットとはいえ立派な肉食動物。イヌと違って家畜化される前の性質を今でも強く残しているようで、屋外にいれば、小鳥やネズミ、トカゲに昆虫といった小動物を日常的に捕まえます。私も自宅で2匹、基本的に室内で飼っているのですが、あるとき庭に出してみると、すぐにスズメやヒヨドリを襲っていたのにはギョッとしました。箱入り娘のニャーちゃんが!

 あんなにかわいいのに、ネコは野生の小動物の数を減らす原因の一つなのです。以前から、逃げ場のない小さな島だと、ネコが小動物を壊滅的に食い荒らすことがあると知られていたのですが、近年は、広い地域でもネコの影響が大きいことがはっきりしてきました。アメリカで年間13~40億羽、カナダで1~3億5千羽、オーストラリアで3億8千羽と、莫大(ばくだい)な数の鳥がネコが原因で死んでいると見積もられているのです。アメリカではネズミやリス、ウサギなどの哺乳類の数も見積もられていて、年に63~223億匹が犠牲になっているようです。

 ということで、今もウチでは時々ネコを庭に出すのですが、そのときは家族の誰かが必ず監視の目を光らせています。ネコが狩りの姿勢を取るや、すかさず妨害に入ります。手間ですが、ネコとともに勢力を広げてきた人間としての、せめてもの責任だろうと思っています。(京都女子大教授)

◆中田兼介 なかた・けんすけ 1967年大阪府生まれ。京都大大学院で博士号取得。著書に「クモのイト」「びっくり!おどろき!動物まるごと大図鑑」など。「図解 なんかへんな生きもの」を監修。