京都精華学園中・高で日本語を勉強する留学生たち(昨年11月撮影)

京都精華学園中・高で日本語を勉強する留学生たち(昨年11月撮影)

 高校バスケットボールで海外からの留学生が存在感を増している。京都にも男子・東山高にコンゴ出身、女子・京都精華学園の中高にマリとナイジェリア出身の選手がおり、全国大会の上位進出に貢献している。多様なルーツを持つ生徒が日本で学ぶことは歓迎すべきだが、言葉や文化の違いから苦労するケースもある。競技面だけでなく、教育面での支援をより充実させることが重要だと感じる。

 2017年からこれまで計4人が入学した京都精華学園でも、留学生は日本語を一から学び、教員らが手探りで教えてきた。2人目となったマリ人の高校3年トラオレ・セトウさんは「友達とコミュニケーションができなくて、先生の説明も分からなくてつらかった」と来日当初を日本語で振り返ってくれた。授業の一部は一般生徒と別室で国語の教員に日本語を教わりながら受ける。定期試験も日本語能力に配慮した内容という。

 同じマリ出身で、京都精華大で学長を務めるウスビ・サコさんの存在も大きかった。同中高と同大は別法人だが連携しており、留学生がけがで手術をした際はサコ学長が母語のバンバラ語で通訳を担った。学長は「高校はよくやってくれた」としつつ、「価値観の違いから留学生と高校側が信頼関係をつくるのが難しかった。文化的なギャップがあった」と指摘する。

 礼儀一つをとっても最初はすれ違った。人の話を聞く際、留学生が胸の前で腕を組み、視線をそらすのに高校の監督らは驚いたが、これはマリでは相手に敬意を表す姿勢。人間関係や部活動への考え方でも日本と異なる点は多かった。「マリでは子育てしながら高校に通う人も多いが、日本の高校生は精神年齢が若い。食事や礼儀などの生活習慣も違う」と学長は話す。電話で彼女たちの悩みを聞くことも多かったという。

 留学生の立場には曖昧さもある。バスケットボールの国際連盟は18歳未満の選手の国際移籍を制限し、移籍には連盟への申請と登録料の支払いが必要だ。金銭授受のある代理人を介した移籍も禁止。だが、実際には競技目的の「国際移籍」と学業目的の「留学」の線引きは難しい。日本協会は高校留学生について「完全に実態を把握することは現時点では不可能。各校の制度内で留学生として選手を獲得しており、日本協会がそれ以上踏み込むことは難しい」とする。

 京都の両校からは留学生が日本の大学に進んでバスケを続けており、セトウさんも日本での進学を希望する。留学生は競技成績が悪ければ契約が終わるプロの「助っ人」ではない。より良い将来のため、競技力の向上だけでなく勉学にも励む一人の高校生として過ごせるよう、周囲の大人たちは考えるべきだ。

 他県では志半ばで退学・帰国した留学生の例もある。サコ学長は「高校には留学生の心理や文化に歩み寄ってほしいと伝えた。日本に来てびっくりする前に、日本の文化を教える機会もつくったほうがいい」と提言する。学校側や競技団体が、日本語教育の専門家や国際交流団体と連携するのも一案だと思う。