米大統領選は、予想通りの混戦となっている。超大国のトップを決めるだけに、結果は世界の行方に大きく影響を与えよう。

 共和党現職のトランプ氏は、激戦州とされたフロリダを制したほか、選挙人の多いテキサスや無党派層が多いとされるオハイオなどでも支持の底堅さを見せた。

 一方、民主党のバイデン氏は牙城とされるカリフォルニアや東部諸州を押さえたものの、事前の世論調査より伸び悩んだ。

 大統領選を通じて浮かび上がったのは、米国内の「分断」がいっそう加速しているということだ。

 人種や民族のほか、ジェンダーや所得、学歴などさまざまな面で格差が広がり、当事者間の深刻な対立関係を生み出している。

 候補者だけでなく、双方の支持者までが武装してにらみ合う光景は、そうした現実を表していた。

 米社会の分断を乗り越えるのは容易ではない。しかも、トランプ氏は分裂を修復したり、対立を融和したりすることに全く関心がないようにみえる。

 選挙戦で、両氏の主張はしばしばかみ合わなかった。国際社会での米国の位置づけや、外交・内政を巡る政策論争よりも、互いに相手を非難・攻撃することに精力を費やしていたように思える。

 新型コロナウイルス感染への心配が続く中で国民の関心は高く、郵便投票を含む期日前投票が前回投票総数の6割を超えたという。

 だが、トランプ氏は郵便投票を「不正の温床」と批判し、民主党に有利とされる郵便投票に否定的な見解を示し、集計について法廷闘争に持ち込む意向を示唆した。

 支持者を動員した大規模集会では、バイデン氏に対する真偽不明の発言を繰り返した。現職ながら勝つためにはなりふり構わない内向きの姿勢を印象づけた。

 これに対し、バイデン氏はトランプ政権のコロナ対応や人種差別的な発言を批判して「国民全員を代表する大統領になる」と述べ、特定の勢力を代弁しているかのようなトランプ氏を当てこすった。

 ただ、コロナへの警戒から集会は車に乗ったままのドライブイン形式やオンラインで行い、運動に熱気が欠けたのは否めない。

 両氏支持者による対立の先鋭化で、選挙結果に納得せず暴力的手段に訴える勢力が出ることが懸念されている。

 民主主義を掲げる大国とは思えない事態を警戒しなければならないのは、米社会の亀裂がそれだけ深いということだろう。