国内総生産(GDP)で世界2位の中国が、1位の米国を逆転することを視野に入れたようだ。

 中国共産党の重要会議である先月末の第19期中央委員会第5回総会(5中総会)の内容について、国営通信社が今週になって明らかにした。

 習近平党総書記(国家主席)は、15年後の2035年まで見据えた長期目標で、「経済規模か国民の平均収入を倍増させることが完全に可能だ」と述べた、とされている。

 倍増が実現すれば、米中の経済規模は、30年代にも逆転する見通しだ。

 国民の生活を向上させ、世界経済の成長をけん引することは、歓迎されるのかもしれない。

 ただ、懸念される覇権主義的な思惑が込められていないか、確かめておくべきであろう。

 5中総会では、21~25年の第14次5カ年計画とともに、長期目標に関して討議があった。

 基本方針について、習氏は内需拡大を柱にしながら世界経済とも連携し、経済の「双循環」を起こすと説明した。

 第5世代(5G)移動通信システムや人工知能(AI)、エコカーなどハイテク産業に、テコ入れをする。サプライチェーン(部品の調達・供給網)が寸断されるような事態にも、耐えられる産業システムを構築する。

 そのことで、1人当たりのGDPを「中進国」並みの水準にすることを狙う。

 GDPの倍増には、年平均4・7%の経済成長が必要とされる。これまで達成した急成長には及ばないが、コロナ禍による景気後退などを考慮すると、長期目標も積極的ではある。

 とはいえ、双循環を打ち出したのは、米国との貿易摩擦が長引くとみているためだ。

 内需拡大を重視し、ハイテク産業の自立やサプライチェーンの維持にこだわるのは、他国からの経済制裁を、念頭に置いているからだろう。

 経済力と並行して国防力の引き上げを図る「富国と強軍」の実現も訴えている。経済と軍事の両面で覇権を狙う姿勢が、垣間見えるのではないか。

 引退年齢に関する慣例に従えば、習氏は2年後の党大会で総書記を退くはずだった。ところが、5中総会では後継者の人事がみられず、続投の流れが強まった。

 今回、長期目標を持ち出してきたのは、長期支配と符合させる動きとも受け止められよう。