世界経済の先行きを左右しかねない米中貿易協議に、実質的な進展があったという。

 関税の上乗せと報復を繰り返した後の協議で、トランプ米大統領が中国製品に対して3月2日から予定していた追加の関税引き上げを、再び延期すると表明した。

 交渉の決裂が当面、避けられただけでも意義深い。

 本当に合意が形成されつつあるのなら、世界経済にとっても悪い話ではなかろう。各地の市場は好感している。

 進展があったとされるのは、ワシントンでの閣僚級会議においてである。

 中国側からは、技術移転や知的財産権保護、非関税障壁、サービス業、農業、為替の6分野で、双方の意見の隔たりが縮小していると伝わってきた。

 中国が、米国からの輸入を拡大する案などが提示された模様だ。6分野においても合意に達すれば、大変な成果ではないか。

 一方で米国側は、中国が経済活動に対する共産党の関与や国有企業の支援について、改める姿勢をほとんど示していないとする。

 合意内容がきちんと実行されているのか、定期的に評価する仕組みを設けることにも、不公平だと反発しているそうだ。

 これでは両国が、最終的に合意に至るかどうか、予断を許さない状況にあるともいえる。ただ、できれば協議をまとめたいと考えているのは、確かなようだ。

 トランプ米政権に対しては、メキシコ国境に壁を設ける予算の執行などを巡り、国内で批判が高まっている。カバーするのは、外交交渉の成果であろう。

 貿易協議の難航で、一時株価が下落した。景気に悪影響が及ぶ要因は、排除したい。

 一方、中国では、米国との貿易摩擦の影響で、昨年の国内総生産(GDP)の増加が28年ぶりの低水準にとどまるなど、経済の減速が続いている。

 国会に当たる全国人民代表大会の開幕を来月に控え、関税の追加引き上げは、何としても避けたかったに違いない。

 両国は、来月中にも米国で首脳会談を行い、最終的な合意を目指す。どこでどう折り合うかで、成否が問われよう。

 中国に対しては、巨額の貿易黒字だけでなく、参入企業への技術開示の要求など不公正な制度についても、強い批判がある。こうした点が改まらないようでは、協議が決着しても成果に乏しい。