大接戦となった米大統領選は、勝者の確定まで長引く異例の展開となりそうだ。

 民主党のバイデン氏が当選に必要な選挙人の過半数獲得に向けて優勢とみられている。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大で郵便投票が大幅に増え、一部の州で集計に時間がかかっている。激戦州の中には、3日の投票日以降に到着した郵便投票も有効とするところもある。

 長期化に拍車をかけそうなのが、再選を目指す共和党の現職トランプ氏の言動だ。

 民主党支持層の利用が多いとされる郵便投票を「不正の温床」と一方的に批判し、接戦のペンシルベニアなど3州で集計の停止を求めて法廷闘争に打って出た。ウィスコンシン州では再集計を申し立てる方針も示している。

 提訴は、トランプ陣営の立会人が開票作業を十分に監視できなかったのが理由という。手続きの不備を口実に、裁判で徹底的に争う構えだ。

 開票作業が進むにつれてバイデン氏が猛烈に追い上げる中、その得票には正当性がないと世論をあおるのが狙いとみられる。だが、集計の停止は、投票で示された有権者の意思をないがしろにすることになる。

 トランプ氏は選挙戦中から、「最後は最高裁の判断になるかもしれない」などと述べ、郵便投票に対する異議申し立てに向け伏線を張ってきた。選挙の直前には、リベラル派判事の死去を受けた最高裁の補充人事を民主党の反対を押し切って進め、保守派の多数を強化した。

 明確な根拠を示さず、郵便投票の「不正」を強調する手法は、選挙結果に納得しない支援者同士の対立をさらに深めることになりかねない。

 選挙結果を巡る混乱は、米国内に政治的な空白と対立を生むだけでなく、国際情勢にも影響する可能性がある。

 安全保障や経済分野を中心に、米中の覇権争いが先鋭化している。米国の混乱に乗じて、海洋進出を目指す中国の動きが加速する恐れがある。ロシアとの関係や中東情勢も警戒が欠かせない。

 ワクチンの供給をはじめとする新型コロナへの対応や、温室効果ガスの削減、核軍縮に向けた交渉など、地球規模の課題解決でも米国が果たす役割と責任は大きい。

 掲げてきた民主主義の旗印を大統領選で守れるのか、国際社会は注視している。