コロナ禍でも例年通り行われた「まねき書き」。書きたての仁左衛門さんの看板(手前中央)は墨痕も鮮やか(6日、京都市左京区・妙伝寺)

コロナ禍でも例年通り行われた「まねき書き」。書きたての仁左衛門さんの看板(手前中央)は墨痕も鮮やか(6日、京都市左京区・妙伝寺)

 コロナ禍で心配されていた南座(京都市東山区)の「顔見世興行」が来月5日に開幕するのを前に、歌舞伎俳優の名前を看板に墨書する「まねき書き」が今年も進んでいる。6日は、京都育ちの人間国宝で筆頭格の片岡仁左衛門さん(76)の名が力強くしたためられた。

 今年の顔見世は感染予防のため例年の昼夜2部制を3部制に変え、公演時間を半分の各部2時間に短縮。期間も半分近い2週間に縮めるなど異例の形となる。

 出演する役者も例年より少ないものの、それでも計40枚の白木の看板を用意。仁左衛門さんの兄で同じく人間国宝の片岡秀太郎さん(79)、中村鴈治郎さん(61)ら上方勢に加え、東京から来演する松本幸四郎さん(47)らが名を連ねる。

 作業場所の妙伝寺(左京区)で、書家の井上玉清(ぎょくせい)(本名・優)さん(74)=右京区=が、看板の隅々まで書いて大入りを願う独特の書体・勘亭流で揮毫(きごう)した。今年は感染予防のため、客数を定員の半分の500人弱に抑えるが、井上さんは「顔見世の歴史が途切れなかったことが良かった。まねきが例年通り上がり、みなさんの気持ちが明るくなれば」と願いを込めた。

 南座での演劇公演は3月以降中止が続き、10カ月ぶりになる。チケットは15日発売。南座に看板を掲げる「まねき上げ」は今月下旬の予定。