乱立による定員割れやずさんな経営で閉鎖などのトラブルが各地で相次ぐ「企業主導型保育所」について、新設基準が厳しくなりそうだ。

 内閣府の有識者検討委員会がまとめた骨子案によると、保育の専門事業者による新設の条件を「実績5年以上」に限定し、職員に占める保育士の比率を定員20人以上の場合は現行の50%から75%以上に引き上げるなど厳格化する。早ければ2019年度から実施される。

 待機児童対策の切り札として導入された制度だが、整備を急ぐあまり安易な参入を招いてきた面は否めない。制度の見直しを地域の需要に沿った整備や保育の質の向上につなげてもらいたい。

 企業主導型保育所は、安倍晋三政権が「待機児童ゼロ」を掲げて16年度に創設した。企業自ら設置する形のほか、保育事業者が設置した施設と企業とが利用契約を結ぶ形もあり、定数の半分以下なら近隣の子どもを「地域枠」として受け入れることもできる。

 開設や運営の基準が認可保育所より緩い上、認可並みの手厚い助成金を受けられるとあって急速に全国に普及し、18年3月時点の運営施設は1420カ所、定員は約2万9千人にのぼる。だが内閣府の調査では、全国平均で定員の4割が空いていたという。

 背景の一つには、認可外施設のため自治体の関与が弱く、待機児童のいない地方でも乱立するなど需要と無関係に整備されてきたことがある。助成金目当てのずさんな経営による閉鎖や保育士の一斉退職による休園、不正受給による刑事事件も起きている。

 骨子案は、特にトラブルが目立つ保育事業者設置型の施設について、企業と利用契約を結ぶ際の新設基準を厳格化。申請の時に確実な利用見込みがあることを求め、利用児童数などを定期的に自治体に報告させ、定員充足率を公表する。さらに助成金の審査や支給を担う「児童育成協会」と自治体の連携を強化し、合同で指導監査や相談にあたるなどとしている。

 児童育成協会については、施設の急増に事務作業が追いつかずに給付が遅れ、保育所が閉鎖に追い込まれる問題も起きている。人員態勢の強化も急務だろう。

 企業主導型保育所は適切に運営されれば、待機児童の解消だけでなく、育休・産休後の職場復帰などの一助にもなる。10月からの幼児教育・保育の無償化でニーズが増えるとの見方もあり、安心して預けられる環境を目指したい。